これだけは知っておきたい「東海地震」

東海地震とは
駿河湾の海底に、駿河トラフが走っています。(※「トラフ」とは、海底の深い谷のような地形のうち、深さ6キロを超えないものをいいます。) 駿河トラフは日本列島の南側にあって伊豆半島を乗せた海洋プレート(フィリピン海プレート)がその北西側の日本列島を載せている陸のプレートの下にしずみこんでできたものです。 しずみ込むスピードは、年間数cm〜10cm程度。長い年月をかけて陸のプレートのはしを引きずり込んでゆき、その力が大きくなると、今度はもとに戻(もど)そうとする力が働いて、陸のプレートの先っぽがいきおいよくはね返ってもとに戻る。 こうした変化で、近い将来大規模な(マグニチュード8程度)地震が発生すると考えられています。 これが「東海地震」です。 東海地震は、その発生メカニズムや予想震源域・歴史的資料がある程度判明していることから、現在日本で唯一予知の可能性が高いとされています。
<メモ>
 昭和53年(1978年)に、地震を予知し、地震による災害を防止・軽減することを目的とした「大規模地震対策特別措置法」(以下、「大震法」。)が施行されました。大震法の施行後20数年間の地震学の進展を踏まえ、最新の地震学の知識や観測成果をすべて取り入れて中央防災会議(議長:内閣総理大臣)の専門調査会で検討が行われた結果、東海地震の震源域は従来よりも愛知県寄りの西側にずれていると考えるのが最も妥当と判断されました。


現段階での被害予想
 東海地震が起きた場合、どんな被害があるのでしょう。最大震度7とされる東海地震の発生直後に起こる被害について、中央防災会議が予測し公表しています。それによると、建物倒壊や津波、火災などにより、最悪の場合は、死者約9200人(水門が閉鎖できないなどが重なれば約1万人と予測)、建物被害は約46万棟に。ただし、予知できた場合なら、死者は約2400人に減少するとしています。


大きな被害が予想されている「強化地域」
東海地震の発生で、「震度6弱以上の揺れ」または「20分以内の津波来襲」などの大被害が予想されている強化地域。

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東南海・南海地震とは
東南海地震は静岡県沖から紀伊半島沖、南海地震は紀伊半島沖から四国沖をそれぞれ震源とする巨大地震で、90―150年周期で繰り返し発生。同時に起きたこともあります。
過去の発生パターンから、両地震が同時か短い間隔を置いて起きるとされています。
同時発生の場合は規模がM8.5で、阪神大震災(M7.3)の64倍という日本最大規模になります。東南海、南海地震が同時発生した場合、東海から九州までの太平洋岸を中心に広い地域が震度6以上の強い揺れに見舞われるとされています。津波の高さは紀伊半島や四国の太平洋側で5メートル以上、高知県の一部は10メートル以上になります。東海地震の想定震源域は東南海地震の東隣にあり、三つの同時発生も懸念されています。
<メモ>
政府・中央防災会議の専門調査会は2003年4月17日、東南海・南海地震で推定される死者数は最大2万500人、重傷者数は2万900人とする結果を発表。被害は関東から九州にまで及び、経済的被害は最大で計56兆円に上るとしました。東海地震の推定(死者最悪1万人、経済被害37兆円)や阪神大震災をはるかに上回っています。
政府の地震調査委員会によると、今後30年以内の発生確率は、東南海が50%、南海が40%。直近では東南海が1944年に、南海が46年にそれぞれ発生し、合わせて2500人以上の死者が出ました。