“名古屋闇サイト殺人事件”とは、2007年8月24日深夜に発生した強盗殺人・死体遺棄事件。
インターネット上の闇サイト“闇の職業安定所”で集まった男3人組により、名古屋市の住宅街路上で帰宅途中の会社員女性が拉致され、殺害された上、山中に遺棄された。連日、テレビや新聞で事件が報道され、母は男3人の死刑を望んだ。しかし、立ちふさがったのは死刑基準。司法の世界では、1人の殺害では無期懲役が妥当としてきたのだ。母は街頭で、男3人の死刑を求める署名を始めた。「そんなことをしても無駄」。周りから反対されたが、母はやめなかった。事件から1年8か月後、名古屋地裁は2人に死刑、1人に無期懲役の判決を言い渡した。しかし、2審では死刑の1人が無期懲役に減刑。そのまま最高裁で確定。母の願いは叶わなかった。
しかし、最高裁判決から20日後、減刑された男が、事件の9年前に別の強盗殺人事件を起こしていたことが分かり逮捕。その後の裁判では、1審、2審とも死刑判決を受けた。
東海テレビは、“名古屋闇サイト殺人事件”発生直後から母に密着し、1審判決直後にドキュメンタリー“罪と罰”(2009/4/12 16:00~16:55)を放送。その後も継続取材し、司法と闘う母の姿をカメラに収めてきた。
しかし、ドキュメンタリーだけでは表現できないことがある…。
それは、事件前の母と娘の物語――。
母は娘が1歳の時に夫を白血病で失った。以来30年間、名古屋の団地で娘と2人暮らし。
「娘をしっかり育て上げ、お嫁に出そう」「自分たちの家を持とう」
夫との約束を果たすために、必死で働き、娘は大学に入学。その後、就職した。
「母に家を買ってあげたい」と娘はお金を貯め、そして彼氏もできた。事件が起きたのは、母と娘が幸せを手に入れようとした矢先だった。
そして、凄惨な事件を起こした男の生い立ち――。
幼いころに両親が離婚。母は家を出た。少年は父と暮らし始めるが、父から虐待を受ける。学校でもいじめられ、少年に居場所はなかった。中学卒業後、町工場で働くが、群発頭痛を発症し、解雇される。もがき苦しむ男を、救うことなく見捨てた“家族”や“社会”があった。
母と娘、そして殺人犯の人生を“ドラマ”と“ドキュメンタリー”で伝える。
- 磯谷富美子
- 斉藤由貴
- 磯谷利恵
- 佐津川愛美
- 富美子の姉 美穂子
- 浅田美代子
- 富美子の母 シヅ
- 大空眞弓
- 利恵の恋人
- 須賀健太
- 磯谷利恵(子供時代)
- 矢崎由紗
- 大家
- 天野鎮雄
- ほか
- プロデューサー
- 阿武野勝彦(東海テレビ)
- 監督・脚本
- 斉藤潤一(東海テレビ)
- 助監督・ドキュメンタリー取材
- 繁澤かおる(東海テレビ)
- 助監督
- 服部綾奈(プラモ)
- 脚本協力
- 塩屋 薫(フリー)
- 音楽プロデューサー
- 岡田こずえ(アーティスト・マネージメント・オフィス)
- 音楽
- 村井秀清(アーティスト・マネージメント・オフィス)
- 主題歌「Home」
- ミナコ・ムーキー・オバタ(アーティスト・マネージメント・オフィス)
- 編集
- 山本哲二(エキスプレス)
- 撮影
-
村田敦崇(東海テレビプロダクション)
坂井洋紀(東海テレビプロダクション)
米野真碁(東海テレビプロダクション)
- 美術プロデューサー
- 高宮祐一(東海テレビ)
- 協力
- 日本映画専門チャンネル
- 制作著作
- 東海テレビ