SPECIAL
溝端淳平「新谷洋輔役は、俳優人生の第2章、第一幕の始まり」
INTERVIEW
オトナの土ドラ『仮面同窓会』は、いよいよ明日スタート。高校時代の親友4人が体罰教師への仕返しに催した、“仮面同窓会”。少し痛めつけて放置、それで終わりのはずだったが、事態は思わぬ方向に。友人たちは疑心暗鬼に陥り、お互いの腹を探っていく……。思わぬ事態に巻き込まれ、向き合うことになる主人公・新谷洋輔を演じるのは民放連ドラ主演8年ぶりの溝端淳平。舞台を中心に実績を積んできた溝端は今作に強い思いがある。
重厚なクライムサスペンス、近年にない面白いストーリーと感じています
- オトナの土ドラ『仮面同窓会』が、5年ぶりの民放連ドラ出演、8年ぶりの民放主演ということですが、オファーを受けられた時の心境を聞かせてください
-
僕は10代の頃に、「第19回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」のグランプリ受賞をきっかけにデビューをして、お芝居の難しさや本当の楽しさも知らないまま、幸運なことに主演や大きな役をいただくことが多く、でも、身の丈に合っていないと感じることが多かったんです。それが当時から嫌で、世間に認知されている自分と、自分の本来の実力のギャップがありすぎて悩んだ時期がありました。
そんな時に蜷川幸雄さんと出会い(2013年、蜷川幸雄演出による舞台『ムサシ』)、打ちのめされて、色々背負っていた物が引き剥がされた気分になりました。そこから真剣に舞台に取り組もうと思い、その後も蜷川さんのシェークスピアや、ハロルド・ピンター、アーサー・ミラー、寺山修司という、舞台の中でも難しい戯曲にチャレンジしていきました。その頃に、「30歳という節目を機に映像と舞台を両立させていきたい」と事務所の社長と話をしていたのですが、今回まさにこのタイミングで『仮面同窓会』のお話が来て、願えば叶うではないですが5年間舞台に没頭していたその経験を活かすチャンスが舞い込んできたと思いました。
以前、主演をやらせていただいた時とはお芝居に対する考え方が違うので、今はゼロからのような気持ちです。今年30歳になるというタイミング。元号も変わり、俳優人生の第2章、第一幕の始まりと捉えて取り組んでいきます。
- 台本を読まれた感想はいかがですか?
- 群像劇であり、とても重厚なクライムサスペンスであり、台本が上がるたびスリリングな展開に読み応えを感じています。新谷洋輔という人間が回を追うごとにどういう風に変わって行くのか、また周りの人間が隠していることや背負っている罪というものがとても細かい伏線となり、それを読みながら回収しつつも毎回大きな衝撃を受けるという、近年にない面白いストーリーだと感じています。
皆、人に対して多少なりとも仮面を被って生きていると思うんです……
- 洋輔の印象、現在のイメージを教えてください
- 非常に感受性が豊かで優しい青年だと思います。ただ、周りの人間の影響や過去の出来事から、一見普通の人に見えて全然そうではない何かを抱えているような印象です。快活ではなく仕事で打ちのめされて肩を落としている青年が実はこう思っていて生きているのではないかという怖さや、どこにでもいるようなリアルな青年の狂気みたいなものが洋輔にはあると思いました。
- 溝端さんは洋輔のように学生時代の同級生と今も会うことはありますか?
- 僕は小学校が一学年に一クラスしかないような和歌山県の田舎育ちだったせいか、実家に帰ると今でも小学校、中学校の同級生に会うんです。ただ、17歳で上京したこともあり、最初、久しぶりに同級生たちに会うことになった時にはきっとギャップがあるんだろうなと思っていました。でも実際には学生当時の失敗談やバカ話をし始めると、何年経っても学生時代に戻るような感覚があったんです。今回、監督にそんな実体験をお話したところ、台本に生かしてくださいました。第1話で洋輔が同窓会に行って、しばらく昔の仲間と間隔が空いているからどうかな? と思っていても、話し出すとすぐに学生時代に戻るというシーンはとても共感できました。
- 視聴者の皆様にメッセージをお願いいたします
-
皆、人に対して多少なりとも仮面を被って生きていると思うんです。さらにネット社会では匿名で思ったことを言うこともでき、人間の関係性が簡略化されていく事に僕は恐怖を感じています。『仮面同窓会』はそういったことをエンターテインメントとして上手く描ける作品ではないかと思っています。
本当にスリリングな展開を楽しんで頂きたいですし、土曜の深夜という時間帯なので、観た後は緊迫した余韻に浸っていただきたいです。