百八十四、
2010/5/14
数字の表記
テレビの画面に表示される文字はほとんどが横書きです。この数字の使われ方が最近、気になります。文章を書くときの心得は、「縦書きには漢数字、横書きには算用数字を使う」が大原則。漢数字と算用数字を混在させないのが基本です。
しかし、事はそう簡単ではありません。この文章も横書きですが、「一期一会」「一石二鳥」のような慣用句や、「七人の侍」といった固有名詞の数字は、漢数字でないとおかしいのは異論がない筈です。これに対し「ひとり」「ふたつ」などは、「1人」「一人」、「2つ」「二つ」のどちらで書くべきか迷ったりします。
数字の扱いでの混乱の実例を、テレビと新聞のネットサイト(横書き)から集めました。
英国総選挙では「二大政党制」と「2大政党制」が社によってまちまちでした。また自民党の「党3役」、ボクシングの亀田「3兄弟」、米軍基地移転での徳之島「3町長」。女優の警察「1日署長」などは、横書きでも算用数字には違和感があります。
「北方四島のうち2島返還」「小中一貫校の1年生」「男性3人が十数メートル落下」と、漢数字と算用数詞が接近して混在したものもありました。このうち「北方四島」は、「4島のうち2島」と算用数字に統一しても腑に落ちない表記になります。「横書きには算用数字」と決めきれないのが、日本語の難しいところで奥深いところです。
最近ではパソコンの普及で日本語を横書きで書くことが圧倒的に多くなり、本来は漢数字で書くべき語句まで算用数字になるケースが増えました。「1晩で…」「3冠達成」「第3極」などは、本来は漢数字だと思いますが、テレビでは算用数字であることが多くなり、見慣れているうちに違和感も少なくなっています。
話し言葉が時代と共に揺れる(変化する)ように、数字(文字)の表記にも揺れが起きています。「第3者機関」「3寒4温」「4分5裂」などが登場しても、誰も気にも留めない時代が来るかも知れません。注意深く見守りたいと思います。