■阪神淡路大震災の被災者「備えを習慣に」

 三重県多気町に住む大須賀由美子さん(47歳)は、料理教室の先生。そしてもうひとつの顔が“防災士”です。

 毎日の食事を備えの一歩にしてもらおうと、2015年からある講座を開催しています。それは『防災×料理 ソナエノゴハン教室』。

 ほっかほかのごはんに、ゴロっとした具材の入った蒸しケーキ。さらに、クリーミーなパスタ!実は、全てわずかな水や熱で作ることができる「災害ごはん」です。

 大須賀さんは、兵庫県明石市出身で24歳の時、自宅で阪神淡路大震災に遭いました。

大須賀さん:
「最初何が起こったか分からない。何の音を聞いているのかわからない。地震だとおもった時に逃げようとしたけど起き上がることもできなかったです」

 今年1月3日には、熊本県で震度6弱の地震が発生。去年は大阪府や北海道も大地震に見舞われました。

 さらに南海トラフ巨大地震が起これば、東海地方は甚大な被害が出ると予想され、大須賀さんが暮らす三重県も、停電はもちろん支援物資が届かない可能性もあります。

大須賀さん:
「こっちに来て隣のおじちゃんたちが家族同然に見てくれていて、話している時に『この辺地震大丈夫やろ』って。本当にびっくりして。この辺一番危ないって言われているし。でも危ない、危ない地震が来るって言い回ったって心に響かない。日常の中に取り入れてもらうことで防災に意識がいってくれるのかなって思ったんです」

 いつ来るかわからない大きな地震や災害、その時に備えてすぐに始められる「ソナエノゴハン」を大須賀さんに教えてもらいました。

■ポリ袋ご飯で「洗い物ゼロ」

 1つめは、ポリ袋を使って作るご飯です。

 災害時は、無駄にできない水。袋を調理に使うと、洗う必要もなく捨てることができ、そのまま器としても使えます。湯煎調理をする場合は、熱に強い高密度ポリエチレンを使うと安心だということです。

【ポリ袋で作る梅わかめご飯(1人前)】

材料:米1合、水180cc、梅干し1個、昆布茶小さじ1/2、わかめ3g

①少量の水で研いだお米1合に水を入れ30分浸します

②梅干しと昆布茶を入れて、鍋へ

※破裂を防ぐために、空気をしっかり抜いて鍋底に耐熱のお皿などを敷くと良いそうです

③沸騰したら弱火にしておよそ25分後、ワカメを加えて完成

 出来上がったご飯を速水里彩キャスターが試食しました。

速水キャスター:
「うん、おいしい!ポリ袋でつくったご飯と言われるとびっくりします。しっかりふっくらごはんです」

大須賀さん:
「梅の酸味が入って、また色味もきれいですからね」

■おやつもカンタン 蒸しケーキ

材料(1個分):ホットケーキミックス100g、水100cc、グラノーラ50g

 ちなみに、ポリ袋を使えばおやつも簡単にできます。

 ホットケーキミックスに水、グラノーラなどをポリ袋にいれ、軽く揉むだけで準備は完了。ご飯と同様に袋をしばり、およそ25分湯煎にかけるだけで「蒸しケーキ」に!普段から時短テクニックとして使えそうです。

■万能保存食の「パスタ」を活用

 そして、もうひとつはパスタです。

 本来の調理法だとパスタはすごくたくさんのお水を使いますが、水で戻しておくことで時間が短縮できるんそうです。

 賞味期限が1年以上あるパスタも、実は保存食として最適です。

【豆乳クリームパスタ】

材料(2人分):パスタ2束、水350cc、干しシイタケ3g、豆乳200cc、ツナ缶1缶、塩小さじ1/2、味噌大さじ1/2、カレー粉小さじ1

①フライパンに水を入れ、パスタと干しシイタケを1時間半浸す。

②火にかけて、豆乳、ツナ缶、塩、みそを入れて味をつける。

③カレー粉を入れる

④全体に火が通ったら完成

 火を使っていた時間は、なんと約4分半。水も燃料も、かなり節約できます。その味は…?

速水キャスター:
「うん、ちゃんとゆがかれています、いつも普通に家で食べるパスタと変わらないです」

 アイディアひとつで、いつもの食材が“ソナエノゴハン”になります。

 大須賀さんの自宅キッチンをみせてもらうと、きれいに整理・整頓されています。普段も使えて、保存が効く食材を少し多めにそろえ、「特別なこと」と意識しないのが大切です。

大須賀さん:
「日々の暮らしの中に備えを入れてしまえば、そこにはなんの力も要らないんです。続いて行くことだし、習慣になっているから、いざという時に使える。特別なことにしたらいけないと思います。特別なことって人ってできないので、いかに自分に取り込んでいくかっていうのをお伝えしたいなって思いますね」

 大須賀さんの「ソナエノゴハン教室」は、2時間制で3800円から参加でき、出張講座も開いているそうです。