プロフィギュアスケーターの浅田真央さんが、いよいよ活動を再開しました。
新型コロナウイルスの影響で、スケート人生で初めて全くリンクに立てない日々が続きましたが、再開に向けて動き始めた真央さんに「独占密着」しました。
■リンクにいる時間は現役時代より長い…真央さんを突き動かすフィギュアスケートへの思い
7月28日、長野。
浅田真央さん:
「じゃあみなさんお願いします。コロナの中、お集まりいただきありがとうございます。本当にみんな集まれるのは今日だけなので、超超超心配なので、やって気になるところがまた出てくるから、その細かいところを直して、最後にもう1回ランスルーできたらやりたいです。今日できるだけやりたいので、みんな頑張りましょう!」
大きな掛け声をかけた、浅田真央さん。7月末、長野県のスケートリンクで行っていたのは、「浅田真央サンクスツアー」のリハーサルです。
「サンクスツアー」は、真央さんが引退後に立ち上げたアイスショーで、2018年の5月から全国各地で開催しています。今年の2月までに150回もの公演を行い、多くのスケートファンを楽しませてきました。
リンクにいる時間は現役時代よりも長いと話す真央さんを突き動かしているもの。それはフィギュアスケートが大好きだという思いです。
真央さん:
「私はやっぱりもう滑ることしかできないんだなって思いました。自分が今までやってきたことって、やっぱり滑ることであって、自分も滑ることで幸せをもらえたり、逆に私が滑ることで皆さんに元気やパワーを届けたいって」
幼いころから天才少女として日本中から注目された浅田真央さん。2017年4月に競技を引退。
引退後の真央さんは、応援への感謝の気持ちをスケートで伝えるために、全国各地を回るアイスショーをプロデュース。
9人の仲間をオーディションなどで選び、歴代の自分のプログラムに自ら振付を加えて、新しいショーを作り上げていきました。
できるだけ近くで見てもらうために、また、小さなスケートリンクでも開催できるよう、リンクの中に客席をつくりました。
家族連れでも気軽に見に来られるようにと、アイスショーとしては破格の安さでチケットを販売。そこにあるのは、感謝の気持ちを届けたいという思いだけです。
■ツアーのアイデアを考えたり「鬼滅の刃」にハマったり…スケート人生で初めてのリンクに立たない日々
しかし、新型コロナウイルスの影響で、今年3月からの公演が中止に。真央さんもスケート人生で初めて、全くリンクに立たない日々を過ごしました。
真央さん:
「おうちでサンクスツアーのDVDを見たり、もうちょっとこういうふうにした方がいいなっていうアイデアはいろいろ考えていました。皆さんそうだと思うんですけど、こんなに自宅にいたことってなかったじゃないですか。なのでいろんな新しいことにチャレンジしたり、テレビを見たり動画を見たり。(お気に入りは)『鬼滅の刃』。面白いと思いました。次がすごい気になって。あと『約束のネバーランド』とか、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』もすごく好きです。人生こんなにアニメにハマったのは、初めてかもしれないです」
再びリンクに立ったのは、6月に入ってから。
全く滑らなかった自粛期間を終えて、プロスケーターとして再始動です。
真央さん:
「もっと感覚ないのかなと思ったんですけど、そんな思ったほど忘れてなかったですね。2か月滑ってなかったので靴も結構硬くなっていて、馴染むまでに時間かかりましたけど今は順調に戻ったかなという感じ」
■自粛中に考えた「やっぱりスケートしかない」…サンクスツアー再開へ 1秒1秒全力で
サンクスツアーは、およそ1時間30分で18曲が演じられ、真央さんが一人で滑る演目と、グループで滑る演目とがあります。
愛知県や岡山県など各地に住むメンバーと、かつてのようにすぐに集まることが難しくなった今、数少ないリハーサルの機会に自然と力が入ります。
真央さん:
「もうちょい中まで来てほしい。焦らなくていいから、ここ。タータラターンで、ちょっと早いね、これ」
今回のリハーサルでは、新型コロナの影響で変更を余儀なくされた部分の、新しい振付も確認していきました。
真央さんがかつて競技で使っていた「素敵なあなた」というプログラムは、サンクスツアーでは男性4人と一緒に演じるグループナンバーになりました。
その中で、お客さんと握手をする部分がありましたが、今後の公演ではそれをやめることにしました。
真央さん:
「お客さんに手をつなげないから、あそこを考えないとね。だからこの中の誰かを指名してやっていいんじゃない、こうやって」
新型コロナの影響をどう回避していくのか。その上で、見に来てくれた人を楽しませるにはどうしたらいいのか。握手はメンバーとすることに変更しましたが、その代わりに新しい技にも挑戦しました。
氷上でくるりと宙返り!選手時代にはやったことのない技です。この曲だけで3時間近くかけて振付をリニューアル。
フィギュアスケーターとしてリンクに立つ喜びを感じる、かけがえのない時間でもありました。
真央さん:
「自粛中も自分に何ができるのかなってずっと考えていたんですけど、やっぱり自分にはスケートしかないなって思いましたし、みんなのリハとかスタートして、やっぱり自分がやりたいこと、すごく楽しいなって、やっててすごく、自分はこれだなって思えるものはスケートだなっていうのはすごく感じたので、ほんとに1公演1公演、1秒1秒、ほんとにしっかり全力で滑っていきたいなというのは改めて強く感じました」
8月15日、滋賀県で再開した「浅田真央サンクスツアー」。客席を半分に制限し、チケット販売は滋賀県在住者に絞りましたが、全国に届けようと新しい取り組みも。
それは、初めてのライブ配信。会場だけに留まらず、インターネットを通して届けました。
真央さん:
「いつかは再開してまた皆さんの前で滑れると思ってずっと生活してきたので、ちょっと不安はありますけど、会場にいらしてくださる方には楽しんでもらいたいなと思いますし、全国の皆さんにサンクスツアーを知ってもらいたいですし、見てもらいたいですし、楽しんでもらいたいです」