インタビュー

菊池桃子さんインタビュー

――本作について、どんな感想を持っていますか?

どの世代もその世代なりの輝き方というものがあり、このドラマではアラフィフの女性がキラキラ輝く様を皆さんに見ていただけたら、と思っています。私が演じる大野は土井、葉山とこの世代ならではの悩みを共有したり励まし合ったり。同年代だからこそ分かり合えるものってありますよね。同じ時代を生きてきた者同士の"共感力"の強さも感じていて、改めて同年代の友人っていいなって思っています。

――ノンママ、ワーママという言葉を聞いての印象は?

ワーキングマザーを略した"ワーママ"が広く定着したように、"ノンママ"という言葉がこの作品を通して、世間に知られるようになるのではないでしょうか。覚えやすいし、使いやすいですしね。

――土井、大野、葉山は毎回、テンポの良い会話劇を繰り広げますが。

セリフが多いというだけでなく、おっしゃる通りテンポも良いので、撮影ではセリフを思い出している暇がありません。私の場合はこんな風に会話をするとき、単純にセリフを頭の中に入れればいいという訳ではなく、歌のように口ずさめるくらい覚えなければいけないんです。それくらいしっかり覚えて、反射的に出てくるくらいにしないと撮影に臨めません。

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――普段の演技とは違いますか?

私が感じたのは、他の作品ですとセリフを言いながら頭の片隅で、『次はこんな表情をしよう』というように、演技をしつつ他のことを考える余裕がありますけれど、今回は全然違いますね。例えるならば普段はテニスの試合で、ワンバウンドでボールを返しますが、今回は卓球のように猛スピードで返しています(笑)

――今回、演じている大野についての印象をお聞かせください。

台本を頂戴したときから、今回は三枚目でいこう、と思っていました。撮影に入ってからもその気持ちは変わらずで、監督さんやプロデューサーさんに相談しながら、突き詰めています。さらにそこに可愛らしさも加えたくて。ただそれも、若いお嬢さんの可愛らしさでなく、"おばさん可愛い"ですけど(笑)

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――大野は女性らしさを大切にしつつ、いろいろ問題を抱える土井を励ます頼もしい存在でもありますよね。

土井には会社で辛いことがたくさん起こりますが、それはこの世代の女性が会社勤めをしていたら、誰でも起こりうることかもしれません。バーでは私も大野になりきり、土井のことをしっかり励ましていますし、視聴者の皆さんにもぜひ土井のことを応援していただきたいです。土井を抱きしめるような気持ちを持っていただけたら。きっと放送が進むたび、"土井応援団"の輪が広がるんじゃないでしょうか。

――土井役の鈴木保奈美さん、葉山役の渡辺真起子さんはどんな方ですか?

保奈美さんとは以前、『恋のパラダイス』(1990年)という作品で、姉妹の役を演じましたが、こうしてまた再会できて本当にうれしいです。お芝居をしているとき、『なんてきれいなの、可愛いの』といつも心の声がささやいています(笑)。真起子さんは背が高くスラっとしていて、格好良い人、というのが第一印象。初めての共演になりますが、お芝居に魂を込めているのを間近で感じていますし、言うなればサムライのような人でしょうか(笑)

――現場で鈴木さん、渡辺さんとはどんな話をされていますか?

ドラマのことはもちろん、まったく関係ない健康やファッションの話もします。しかし、みんな非常に緊張感を持ってこの撮影に臨んでいますので、どちらかと言うと空き時間もドラマについて話していることが多いです。

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――本作はアラフィフの女性の人生模様を描いていますが、同世代の菊池さんが日々を暮らす中で、大切にしていることとは?

まず、年齢を重ねることをネガティブに思わないこと。むしろ、経験値が上がって頼もしいと思いながら生きていくべきだと感じています。このドラマのセリフに、平均寿命が上がり50歳といってもまだまだ先は長いというものがあります。確かに50代でしおれる必要はまったくないですよね。むしろ、栄養をたくさん取り込んで、いきいきとさせることを心掛けるべきではないでしょうか。

――最後に、「ノンママ白書」のアピールをお願いいたします。

アラフィフの女性が主人公とはいえ、女性だけに注目してください、というのではなく、私は男性にも『ノンママ白書』を見ていただきたいです。この世界には男と女がいて、その両方がお互いの気持ちを理解したり、労わったり、応援したりすることが大事ですよね。最近の世の中は女性を応援する声が強くなっていますが、女性もまた、男性を応援する気持ちを持つべきだと思うんです。男性がこの作品を見て、『アラフィフの女性はこんなことで悩んでいるんだ』と感じ、女性にエールを送る気持が高まってくれたらうれしいです。