第566回 東海テレビ放送番組審議会

1.開催日

 平成29年1月10日(火)

2.出席者

出席委員

浅田剛夫委員長、後藤ひとみ副委員長、臼田信行委員、大松利幸委員、金子慎委員、川谷陽子委員、佐藤健委員、福谷朋子委員、松原和弘委員、山岡耕春委員

社側出席

石黒大山代表取締役会長、内田優代表取締役社長、中嶋保雄取締役報道担当、古橋明取締役編成局長兼制作局長、春田亮介取締役総務局長、祖父江茂樹スポーツ局長、平光治コンプライアンス推進局長、喜多功報道局長、横田誠制作局次長兼東京制作部長プロデューサー

3.議 題

  1. The世界力 ~渡辺謙×錦織圭×松山英樹~
    平成28年12月30日(金)23時00分~24時15分 を審議
  2. 報告:局に寄せられた視聴者からの意見、苦情等の概要(12月分)
  3. その他 委員発表「私とテレビと東海テレビ」

4.議事の概要

1.審議番組について委員からは

  • 世界で活躍する3人が出演するという企画は目を引いた。マネー、ファミリーなど画面上でもテーマを紹介しながら鼎談を展開するのは、分かりやすい手法だと思った。
  • 「賞金やランキングはあまり気にしていない」という錦織選手と、「メジャーには大金が落ちている」という松山選手の考え方に違いはあるが、いずれの意見にもプロとしての意識が見て取れ、興味深かった。
  • オリンピックについて、錦織選手が日の丸を背負って戦った感動について語ったのを受け、松山選手が「東京オリンピックには出たい」と明言するなど、2人が互いの存在や発言を意識して、影響しあっていることが見てとれた。
  • 「緊張することは楽しいことだと思うようにする」という言葉が大変印象的だった。世界最高峰で戦えるポイントがこの言葉にあると感じた。
  • 番組タイトルが内容を十分に表してはいないのではないかと思った。また彼らの「強さの秘密」が番組の中からは伝わりにくかった。
  • 渡辺さんの二人への掘り下げが中途半端に終わり物足りなかった。競技経験者をインタビュアーにした方が切り口が違ったのではないか。
  • 冒頭のダイジェストが内容を盛り込み過ぎて長かった。松山選手が東京オリンピックに出場するとコメントする「見どころ」は、最後にとっておいた方がよかったと思う。
  • 「フード」というテーマでは、渡辺さんが手料理をふるまうだけではなく、トップアスリートがどのような食事管理をしているか、専門的な話も聞いてみたかった。
  • 初対面の2人のアスリートを打ち解けさせ、裏話や本心を引き出す渡辺謙さんの進行はさすがだった。錦織・松山両選手からも、世界的俳優に敬意を払っているという雰囲気が感じられた。

等、貴重なご意見をいただきました。
これに対し、社側からは


  • 今回の番組は、錦織・松山両選手のマネジメント会社の関係者から去年の初めに話しがあり、渡辺さんが司会をしてくださることになり番組が実現した。世界で戦い世界一を目指すアスリートや役者がどんな話をしてくれるのかが楽しみだった。
  • 錦織・松山両選手のマネジメント会社からは、「2人の対談は、渡辺謙さんが司会なら是非やってみたい」という反応だった。これを受け、渡辺さんには司会をお願いに行ったところ、渡辺さんも二人に注目し、前のめりに入って来てくれた。
  • 渡辺さんは「俳優にならなかったらスポーツ記者になりたかった」と言っていたが、「マニアックにはなりすぎないよう、特にスポーツ好きの人に見てもらう」という方針を決め、番組を構成した。
  • 渡辺さんは「絶対に彼らの迷惑にならない取材をしたい」と話していた。実際、全米プロゴルフ開催中は、毎朝、自分で握ったおにぎりを松山選手に渡し「がんばれよ」と声をかける程度だった。そして試合が終わってからしっかり話を聞くようにしていた。

等の発言がありました。
この他、委員と社側の間では

Q.もっと別の時間帯に放送した方が良かったのではないか?

A.東海テレビの番組が全国放送できる枠は通常1月4日のデータイムと決められている。今回はフジテレビに「別の放送時間にしてもらえないか」と相談。1月4日のデータイムより価値が高いといわれている今回の放送枠と交換してもらったもの。

Q.食事管理についてもっと話があった方が良かったのではないか?

A.食事管理については実はいろいろ話はあったが、とてもマニアックな話だったため、全てカットした。むしろ松山選手が笑顔で楽しくラウンドしているシーンは世の中には出ていなかったので、そのシーンを優先した。

Q.鼎談のシーンで、松山選手の後ろに部屋の照明のスイッチが映り込むのが気になったが?

A.収録にはかつて米軍の洋館だったハウススタジオを使用した。「スイッチは隠した方がいいのではないか」との意見もあったが、「スイッチがあった方が、家の中で収録しているという雰囲気が出ておさまりがいい」ということになり、わざわざ隠さずそのまま収録した。

等の質疑応答がありました。

2.社側から12月の1カ月間に、電話・文書・メールで視聴者から局に寄せられた、問い合わせや苦情等、1,530件の意見の概要を報告しました。

3.委員発言「私とテレビと東海テレビ」

今月から上記タイトルで、自身とテレビとの関わりについて、委員が自由に発言する時間を設けました。1月は2人の委員から次のような所感・提言がありました。

 「私とテレビと東海テレビ」(要旨)

他局番組の長期取材を受けた際、仕事・プライベートかかわらず取材スタッフと時間を共にしたが、放送された番組では、伝えたかったことと違うニュアンスや、誇張されている部分もあったと感じた。番組制作の過程では、取材される側と制作者とのギャップは取材中に埋めておく必要があるなど、互いの信頼関係の構築が重要だと思う。しかし放送後、若者から「この仕事を目指したい」というメッセージをたくさんもらい、番組に出演してよかったと感じている。

私がなぜ、そんなにテレビが好きなのか、理由は2つある。
① 世の中の出来事を速やかに知りたいため
② 真剣に見入ることで現実を忘れる時間になるため。
人は、なぜテレビを見るのか。どんなときテレビを見るのか。視聴者の意見を集約する事後評価し、なぜ・どんなときに人はテレビ視聴行動をとるのかについて、その背景や要因の分析を行い、行動変容を促すようなアプローチが必要なのではないか。