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パウエルまさ子役 浅野 温子さんインタビュー

2016.12.16 update

今回は初共演の方が多いと伺いました。筒井さん、成海さんはどんな方ですか?
現場でお二人とも静かな佇まいでいるので、『ものすごく丁寧に役作りをしているな』と思っていたんです。でも会見でも同じテンションだったので、『あ、撮影のときも素だったんだ』と(笑)。オンもオフも変わらないですね。筒井さんも成海さんも、ご自分の中にある流れやテンポというものを崩さない方。戸籍監理課では、私を含めてそれぞれのテンポがうまく組み合わさったら、とても面白いハーモニーが奏でられる気がします。そうなったら、視聴者の方からも『戸籍監理課のやりとりって笑っちゃうよね』と思ってもらえるのではないか、と思っています。
法務大臣政務官の国東を演じる木下ほうかさんとも初共演だとか。
そうなんですよ。木下さんの場面はまだ数シーンしか撮っていませんけど、おもしろい芝居をされる方でした。木下さんとどんな場面を作っていけるのか、私自身も楽しみです。まさ子と国東の会話って何だか意味深ですけど、この作品って全部で8話しかないから、その中でまさ子と国東の関係をどこまで描くんでしょうね?いろんな要素が積み込まれたら、どうしましょう(笑)。
劇中では、まさ子のファッションも見どころの一つです。今回、このような着こなしになった経緯は?
筒井さん、成海さんより私は年齢も上ですし、最初に監督さんからパートのまさ子は新谷・薫コンビが外から帰ってきたとき、温かなお茶でも出して労うポジションだと言われました。話もSFっぽいところがあるからこそ、役にリアリティや落ち着いたほうがいいと思って演じたら、戸籍監理課の“主”のような雰囲気が出たみたいで(笑)。もう少し軽やかな演技を求められ、いろいろ模索していたら、服もこんなところに行き着きました(笑)。
改めて「リテイク」という作品に関する感想をお聞かせください。
見てくださる方へ問いかけをしていますよね。『もしあのとき、あの場所に戻れるとしたら、どうしますか?』と。話の幅が広く、その話ごとにテーマが変わるので1話、1話新鮮な気持ちで見ていただけると思います。『あの日に帰れたら?』という物語の “軸”となっている部分は、年齢を重ねれば重ねるほど、心にダイレクトに響くのではないでしょうか。肉体の面でも、どうしたって若いときに出来たことが一つ一つと出来なくなりますし、そういう意味でも、『あの頃に戻れたら…』と感じることがありますから。
それでは、まさ子をどう演じているのでしょうか。どんなところを大切にされていますか?
まさ子の人間としてのもまれ具合を見ると、彼女は彼女なりに何かあると思えるんですよね。私は、まさ子が国東と同級生だった、というところにポイントがあるのではないか、と思っています。国東がキャリアを積む一方、まさ子は結婚して、今はパートというポジションで、行政のことに首を突っ込んでいて。そんなまさ子の、新谷と薫への態度にも注目していただけたら。どんな思いで二人に接しているのか、今後もただ見守るだけなのか、それとも…。私自身も、まさ子の思いとはどんなものなのか、明らかになるのが楽しみです。
新谷、薫、まさ子の“ホームグラウンド”戸籍監理課でのやりとりにますます注目したいと思います。
3人で賑やかに話をしていますけど、その一方で、『この3人はどうなっていくんだろう?』と感じさせるものがあるんですよ。『そもそも戸籍監理課って何なの?』っていうところを出発点に、話が進むにつれていろんな“含み”が出てくるので、その一つ一つがどんな意味を持ち、どう絡んで、どう着地するのか、楽しんでいただきたいです。
戸籍監理課に関しては、セットも作り込まれていますね。
美術の方が非常に手をかけてくださっています。部屋全体はちょっと古臭いといいますか(笑)、でもそこに、最新式のおしゃれなコーヒーサーバーが置いてあったりして。まさ子がハマっているアーティストのグッズが至る所に置いてありますが、本当のアーティストグッズみたいなクオリティーでした。
ところで浅野さんは、人生をやり直すための“リテイク”をしますか?
どこに行ったって、違った道を歩んだって、そのときどき苦しみがあると思うんです。もちろん、これまでの人生では味わえなかった楽しみや、面白味もあるでしょうけど。猫に生まれ変わりたいと言ったところで、猫だって猫なりに大変だよ、みたいな(笑)。いまの私の年齢で『過去に戻りたい』って言ったら、自分のこれまでを全否定することになる気がしますし、それは出来ないかも。今は過去を振り返るより、『とりあえず、前に進んどこうか!』でいいかな。
もしタイムマシーンが出来たら、行きたいところはありますか?
行くなら未来。自分がどんな風に亡くなるのか、そこはちょっと興味があるので (笑)。

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