プロデューサーより
たくさんのメールをありがとうございます。
多様に番組を受け取ってもらえたことを嬉しく思います。その中に、監督が「ルーキーズ」の選手を叩くシーンについて、不愉快だったという感想が複数ありました。不快な思いをされた皆さんには、お詫びします。このシーンについては、面白半分に、またセンセーショナルを狙って出したわけではありません。この番組は「ルーキーズ」というチームの成り立ちと現状を伝えることが、骨子です。ですから、チームの内外で行われていることをドキュメントし、その内容を包み隠さず、お知らせすべきだという信念から、放送することにしました。放送に至るまでに、悩みました。しかし、番組を作る側が配慮を繰り返し、また観る側が自粛の圧力をかけるような関係が、よりよい社会を作る礎になるとは考えられません。この番組については、言うまでもなく体罰問題を主題にしたものではありません。まず、高校の野球部からドロップアウトした青少年たちのやり場のない実態があります。そして、「ルーキーズ」という場を通じて、もう一度生き生きと白球を追う青年たちの姿を目撃しました。そして、その場を維持しようとしている人々の思いも知りました。批判するのは簡単ですが、これまでにない新しい場を設けるのは、一筋縄ではありません。「ルーキーズ」と理事長の現状は、私たちの社会の一断面だと思います。そして、この番組を観た皆さんの考え方も、この社会のありようを映し出していると思います。人のやらないことを切り開く…。長所も、短所もあるでしょう。怪しげなことも、純粋なことも、理解不能なこともあるかもしれません。人間は多面体です。生身の人間のすべてを一つの番組で伝え切れるということも、難しいことだと思います。番組を作る時、私たちは皆さんの存在をイメージしますが、皆さんにあわせて番組を作ることはしません。その時々の気持ちにフィットしたり、しなかったり、受け取る側もまた多様だと思うからです。
最後に、私たちは誰かを傷つけるために、番組を作っているわけではありません。今後も、多様な生き方を認め合う優しい社会を目指して、皆さんと一緒に歩みたいと思っています。激しい気持ち、厳しい批判、そして励ましの言葉、たくさん頂きました。今後の番組作りに生かしていきたいと思います。