- ――礼子は、これまでの小野さんのイメージとは全く違う役柄ですね。
- このドラマのお話いただいた時は普通のお母さんをイメージしていたんですが、まさかこんなにファンキーな役だとは！最初に台本を見た時、「あれ？役名、間違ってるのかな？」と思って何度か見返したんですけど、やっぱり私が礼子で(笑)
今までこういう役を経験したことがなかったので、「これは大変だ！」と。見た目からガラッと変えたくて、髪をこれまでにないくらい茶色くしてクリクリに巻きました。メデューサみたいですよね(笑)メイクも、あんなに瞳を囲ったことなかったので、どれくらい塗っていいか分からなくなるんですけど(笑)でもここまで変えて、髪型やメイクでスイッチが入ることを、改めて実感しましたね。
- ――ご自身とは全く違う礼子役、どのように役作りを？
- 自分とは真逆ですが、礼子が理解できないということはなかったです。礼子に共感できるところが多くて、「よく言った！」と痛快さを感じたり、礼子のセリフに自分が元気づけられたりもして。突っ張って、おちゃらけて、何を言われてもかわして、誰にも本心を見せず…、周りからは宇宙人のように思われている礼子ですが、それにはちゃんと理由があるんですよね。
子どもが3人もいて、女一人で食べさせていくためには、自分が他人にどう思われているかなんて構ってられない。礼子の言動の全ては、そういうところからきているのだと思います。
ただ、立ち振る舞いについては、“堂々とした”“あっけらかんとした”いう雰囲気を出すために、普段から気をつけるようにしています。本来は小心者ですし、そうそうたる方々とご一緒させていただいているので緊張しますが、無理矢理でもいいから堂々とした態度でいるよう心がけています。
- ――礼子の立ち振る舞いの参考にされた方はいらっしゃるんですか？
- この間テレビで、あるモデルさんを拝見して、「礼子だ！」と思う方がいらっしゃって（笑）ズバッと物をおっしゃって、一見、近寄りがたい雰囲気もあるけど、筋が通っていて、芯があって、ステキなんですよね。
- ――礼子の子ども役の3人とは、どんなコミュニケーションを？
- 小さい頃は保育士さんになりたかったんです。従弟も年下が多くて、親戚の集まりがあるとみんなの面倒をみていたので、子どもと接するのは得意な方ですね。長男役の松島海斗くんは、すごくお芝居も上手で、現場の流れやカメラの位置も全部分かってて。下の2人を引き連れて、「今は、黙れ！」とか「ここ、セリフだよ」とか、一生懸命教えてくれるんです。お兄ちゃんが全部面倒見てくれるので、お母さんとしては助かってます(笑)
二男役の丹治聖人くんは、シャイですね。でも、テストはモジモジしてるけど、本番になるとちゃんとやるんです。現場でセリフが変わっても、臨機応変に対応できる子です。
一番下の樹里杏役の末吉理愛ちゃんもシャイで。でも、慣れてくると、自分から手を振りにきてくれたりして、かわいいですね。樹里杏は大きいリボンを頭につけてるんですが、「今日どれにする？」って、いつも一緒に選んでいます。「これにしなよ！」って、ほとんど私が決めちゃうんですけど(笑) 私も同じ髪飾りを腕につけて、2人でおそろいにしたりしてるので、チェックしてみてください。この仲の良さが、画面に出ているといいんですけどね。
- ――PTAに関しては、ドラマを通じてイメージが変わりましたか？
- 子どもの頃から母の話を聞いていたので、ある程度の認識はあって、PTAも自治会も大変そうだったなと思っていました。ただ、台本を読んで、「こんな細かいことまでやらなきゃいけないの！」とビックリしました。カーテンを洗ったり、雑草をとったり、生徒がやったらいいのにと思うこともありますよね。自分たちの学校をキレイにすることも勉強だと思うので。でも、ここで「納得いかない！」って言ったら、陽子さんみたいになっちゃうんですもんね(笑) なかなか難しいですよね。
- ――ハードな撮影を乗り切るために、心がけていることは？
- オンとオフをしっかり切り替えることですね。心配性なので、明日は大事なシーンがあると思うと、家に帰っても寝ている間もずっと頭にあって、翌朝も持ちこしてパンクしてしまう…ということがこれまではあったんですが、今は、スタジオを出たら一回オフにして、もう考えない！礼子が「なんとかなるよ！」って言ってくれているような気がして。礼子という役を演じることで、心の持ち方も変わりました。
- ――では最後に、視聴者のみなさまにメッセージを。
- 心を開いてみたら、敵だと思っていた人が味方だったりすることもありますよね。人と正面から向かい合うことで、もしかしたら疎遠になってしまうこともあるかもしれません。でも、ぶつかった後には、必ず何か得るものはあると、礼子を演じていて思いました。
ドラマの登場人物たちもぶつかり合いますが、みんな必死に生きていて、子どもが大切というところは同じです。それぞれの考え方があって、それぞれが正解かもしれないし、不正解かもしれない。ぜひご覧になって、いろいろ考えていただければと思います。
