2018年4月7日(土) よる11時40分〜

Specialスペシャル

Interview伊藤沙莉さん

「いつまでも白い羽根」でヒロイン・瑠美の親友・千夏を演じている伊藤沙莉さん。確かな演技力が高い評価を得ている伊藤さんは今回も、千夏の愛すべきキャラクターを表情豊かに体現しています。様々な役柄を演じてきた伊藤さんにとっても、千夏を演じるのは挑戦だと語ります。その理由とは?
「いつまでも白い羽根」の内容について、どんな感想を持っていますか?
瑠美や千夏だけ、というように看護学校の中だけでなく、いろいろな人間関係が丁寧に描かれていますよね。仕事、友人、恋愛、家族…。それぞれが抱える問題や悩みについての描写も出てくるので、皆が自分の道をどう切り開いていくのか興味を持ちました。客観的に見れば、大変な状況の人もいます。でも作品全体が希望を持てるテイストなのが私はいいなと思っています。それに、看護学校のシーンはまさに青春って感じで、キラキラしていますよね。
瑠美と千夏の関係を伊藤さんはどう思いますか?
千夏を演じる上で、セリフにヒントがたくさんあって、瑠美と出会った頃に『強い人と一緒にいると、自分も少しは強くなれそうな気がする』って言ったんです。“自分”というものをしっかり持っている瑠美を見ているだけで、千夏も気持ちを強く持てるような気がしているのかもしれないです。私自身、千夏に近いところがあって、結構不器用なんです。友達は面倒見が良かったり、しっかりしていたりする人が多くて、『この人は私を見捨てないだろう』という人を見つける“嗅覚”がどんどん鋭くなりました(笑)。きっと千夏もそういう人を自然と見つけられるタイプなんじゃないか、と。瑠美って千夏の要領の悪さを分かった上で一緒にいてくれますよね。ただし千夏は自分の面倒を見てくれる人を利用しよう、みたいな腹黒さは一切なくて、そもそも瑠美のことが大好きだと思います。単純に好きだから一緒にいたいだけで。
そんな千夏の純粋な思いが瑠美に届いているのからこそ、ふたりは一緒にいるのかもしれませんね。
瑠美は一ミリでも邪悪なところがあったら、気づくタイプだと思います。それだけでなく、はっきり指摘するタイプだと思います(笑)。
瑠美役の新川優愛さんとは現場で、どのような取り組みをされていますか?
優愛ちゃんと一緒にいると、私たち瑠美と千夏みたいだなって思います。先日ロケで私が苦労していると、優愛ちゃんが駆け寄ってくれて、『大丈夫?』と心配して助けてくれました。きっと彼女も瑠美みたいに、人のことを放っておけないタイプだと思います。普段の優愛ちゃんを見ていても、『いまの瑠美っぽいなー』と思いことがよくあって、千夏タイプの私としてはかなり甘えています。
千夏の見どころを教えてください。
私は千夏を新鮮な気持ちで演じています。というのも、いままでこんなにも純粋で素直な役を演じたことがなかったんです。『ここで何か、おもしろいリアクションをしよう』なんてことは考えないようにしていて、ブレない瑠美と一緒にいることで千夏がどう変化していくのか演じられたら、と思っています。それと、千夏は瑠美といるときは女の子らしい一面を見せるけれど、ずっと好きな瞬也には素直になれなくてキツく当たったり、家族といるときはものすごくくだけていたり。1話の中で、いろいろな表情を見せるので、普通の女の子だからこその多面性も表現したくて。そういうところも注目していただけたらうれしいです。
千夏を見ていると、すごくいじらしいですよね。
演じていても、良い子だなーって思うし、要領悪いなーとも思います(笑)。何に対しても無理をするのが千夏。頑張り過ぎて、空回りしている状態なんでしょうね。それに、感情を押し殺して、言いたいことを飲み込むことも多くて。言えないじゃなくて、言わない子なんだな、と感じています。あえて言わない、という部分を丁寧に演じたいです。私はそういうところも千夏に近くて、余計なところで気を遣っちゃうタイプなんです。『こんなことを言ったら傷ついちゃうかな』と。でも人って案外スパッと言ってくれたほうがスッキリするものですけどね(笑)。
千夏はきっと、視聴者の皆さんが応援したくなるキャラクターだと思います。
クラスメートの中で一番不器用ですけど、確実に成長はしていくので(笑)。最終的に千夏が看護師になれるかどうか、ということに加えて、そのときどきの千夏の言動も楽しみにしてほしいです。
千夏は実習でも悪戦苦闘することが多いです。それでもなぜ看護学校を辞めないと思いますか?
家族からも向いていないって言われてますからね(笑)。でも千夏は『私には看護師の仕事が合っていると思うんだよねー』と言っていて、“合っていると思う”って、何かを貫く上で、大きなモチベーションになると思ったんです。私だってメンタルは決して強くなくて、それなのになぜ女優という職業を選んだのか、続いているのか分からなくなるときがあります。常に人目にさらされ、ときには叩かれもするこの仕事を。突き詰めると、演技をすることが自分に合っているから、なのかなって思うんです。千夏も同じような気持ちで看護師の仕事を選んだ気がします。
ちなみに伊藤さんは子どもの頃から芸能界で活躍してきました。他の仕事に就くことを考えたことは?
高校生の頃、女優を続けるべきか辞めるべきか、考えたことはあります。女優業が嫌ってことでなく、お仕事がコンスタントに入らず、『別の道を考えたほうがいいのかな?』と。それで管理栄養士の分厚い本を真剣に読んでいました。でも子どもの頃から、すぐに影響を受けるたちで、それこそ看護師が主人公の『ナースのお仕事』を見れば、私も!と思ったし、警察官が主人公のドラマを見れば、自分がパトカーを運転する姿を想像して(笑)。女優をやっていればどんな仕事も体験できるし、どんな人にもなれるんですよね。どんな選択をしても、最後は女優業に繋がりました。それで焦るのをやめたんです。
伊藤さんは確かな演技力で高い評価を得ています。若手演技派の筆頭として注目を集めていることをどう受け止めていますか?
ベテランの先輩の中にも演技派と呼ばれる方がいて、私も同じように演技派という“冠”をつけていただけることがありがたい反面、プレッシャーを感じるときもあります。もともと演技の世界って個人プレーだから、演技派とか正統派とかカテゴリーにわけなくてもいいのかなって思いますし、伊藤沙莉個人として見てもらいたいという気持ちも正直あります。そういう意味でも千夏は私の新しい面をたくさん出せる役だと思うので、千夏のことも、伊藤沙莉のことも見守っていただきたいです。
最後にタイトルにかけて質問します。伊藤さんの中に“白い部分”って何かありますか?
それってピュアな部分ってことですか? ピュアかどうか分かりませんけど、おいしい料理を食べると悲しくなります(笑)。『うわ〜、おいしい!』って思った後に悲しくなるんです。私にとって一番大切なもの、大事なものは家族で、『私はこんなにおいしいものを食べているのに、家族は何を食べているんだろう?カップラーメンとかだったらどうしよう』と思うと、泣きたくなっちゃうんです。友達は私が落ち込んでいる理由を知っているから、またーっていつも呆れています(笑)。