2018年4月7日(土) よる11時40分〜

Specialスペシャル

Interview酒井美紀さん

瑠美(新川優愛さん)の同級生・佐伯典子は30代でふたりの子供のお母さん。主婦業に追われ、冒頭では教官の波多野(宍戸美和公さん)から看護師になるのを諦めるよう迫られる場面も。厳しい状況に置かれながら看護師を目指す典子を演じるのは、「とても大変な作業」と酒井さん。その理由とは?
会見でも、「学園ドラマで生徒役のオファーがくると思わなかった」とおっしゃっていましたね。
このドラマのお話を聞いて、当然先生だと思っていました。生徒役ということは、まったく考えもしませんでしたね(笑)。ただ、実際の社会でも一度社会に出た方が大学や大学院で勉強し直すケースが増えています。そういう意味で佐伯さんは、今の時代を生きる人なのかな、という印象です。
30代半ばで、看護学校に入った典子をどう思いますか?
いくつになっても目標を持ち、学ぼうとする気持ちは素敵ですね。佐伯さんを演じる上で、人は何度でもチャンレンジできるし、いつスタートしても遅くないということを象徴する存在になれたら、と思ったんです。人は年齢を重ねれば重ねるだけ、いろいろな枷が増えます。それでも佐伯さんは、一歩でも二歩でも前に進もうとしています。その姿を通し、視聴者の皆さんに勇気を届けられたらうれしいです。
佐伯は夫との仲がうまくいっていないようですが。
そうですけど、佐伯さんがどんなことを悩んでいるのか、あまり前面には出てきてないですよね。学校の場面では笑顔を見せていますが、その裏には確かに苦悩があります。佐伯さんの人格が球体だとしたら、どの面を見せればいいのか、常に悩み、何かにつけて監督さんに確認しています。その際、私はこう考えているけれど、監督さんの考えはこう、ということが結構あって。監督さんとのディスカッションで、佐伯さんについて、“なるほど”と新たな発見をすることもあります。この作品は1話ごとの時間経過もかなりあるので、劇中で描かれていないところで佐伯さんの気持ちにどんな思いが積み重なっているのか、自分の中でいろんな感情を作っては埋めていく作業が結構大変です。
酒井さんから見た、佐伯夫妻の印象は?
会話がないですよね。『ああ、この夫婦は本音で話し合いができる距離じゃないんだな』と感じています。もし言い争うことが出来れば、何か打つ手はあると思うんです。それすらできなくなっていたら、事態は深刻でしょうね。夫婦の間がすれ違ってしまうことってあるだろうし、佐伯さんの場合は決定的な理由がなくて、日々の暮らしの中でだんだんとお互いが見つめる方向性が違ってきて…、というケースのような気がします。佐伯さんのような夫婦が実際にいてもおかしくないでしょうし、リアルだからこそ、そういう状態を説得力を持って演じるのは簡単ではないです。
夫婦間に問題があり、まだ幼い子供たちは目が離せません。この状況で、看護学校に通うというのは、とてもパワーのいることですね。
佐伯さんは看護学校で、積極的に同級生たちに話しかけています。実際、同年代ばかりの中にかなり年上の人がいたら、話しかけづらいと思うんです。佐伯さんは自分から若者の中にバンッと飛び込みました。もしかしたら、30代半ばになり、若いときにはない図々しさがあるのかもしれませんけど(笑)、何にせよとても高いハードルを越えなきゃできないと思うんです。というのも、私自身がこの現場で新川さんを始めレギュラーメンバーだけでなく、生徒を演じている皆さんと20歳くらいの差があります。私も佐伯さんのように積極的にならなくてはダメだと思ったし、自分が体験したからこそ、看護学校に入学したのは佐伯さんにとってどれだけの決断だったのか、感じることができました。そこまでしても、佐伯さんには獲得しなければいけないものがあったのだ、と。
さらに、佐伯からは、「何があってもやめない」という覚悟を感じます。
これがもし、大学に通うとなると話が違ってきます。看護学校は本当に過酷。専門的な知識を得なくてはいけないし、きつい実習もあります。撮影に入る前、ほんの一部ですが実習に参加させていただきました。短い時間でも正直大変だったんです。これは仲間がいないと乗り越えられないだろな、と実感しました。支え合っていかないと卒業までとてもたどり着けないだろうな、と。そういう意味でも佐伯さんは仲間に恵まれたのでしょうね。瑠美ちゃんや千夏ちゃん、遠野さんがいたから頑張っているのだと思います。
改めて、作品の感想をお聞かせください。
本当に王道の青春ドラマですよね。瑠美ちゃんを始め、登場人物の誰もが悩んで、苦しんで、挫折して…。それで成長していきます。多くの視聴者の方にとって、ご自身が通ってきた道じゃないか、と思います。年齢を問わず、ドラマの中の誰かに共感していただけるでしょうし、それは典子も含めてです。
典子の今後も気になります。
詳しいことは言えませんが、今後典子さん夫婦が会話をする場面があり、そこをどう演じようか頭を悩ませています。普通に聞いたら家のことを話しているんですけど、実はそこに別の意味があって…、というやりとりなんです。ぜひそのシーンで、典子さんの思いを視聴者の皆さんにお伝えしたいと密かに気合いを入れています。
最後に、ドラマのタイトルにちなみ伺います。ご自身の“ここは白い”と思うところを教えてください。
私、お芝居が大好きなんです。その気持ちは真っ白。誠心誠意でお芝居は頑張ります。『よーい、スタート!』と声がかかり、お芝居を始める瞬間も好きですけど、その役がどんな人物か考え、自分の中でいろいろ構築する時間も大好きです。あーでもない、こうでもないもないと、ネチネチと考えています(笑)。そういう積み重ねていく作業も大好き。多分、お芝居に対しては私、Mだと思います(笑)。