長野県中野市。18歳の斉藤未芙由(志田未来)は母・幸恵(芳本美代子)の病室にいた。幸恵は重病を患い、もう間もなく命を終えようとしていた。母の病気が分かったのは高校3年になってからだった。この一年、大半を母の看病と家事に費やし、気付くと卒業後の進路も無い。
「大丈夫。まっすぐに生きていれば、絶対に誰かが助けてくれる」
母の言葉に疑問と、かすかな反発を感じる未芙由。母は分かっていなかったのだ。自分が死んだあと、夫の幸司(春田純一)が愛人のはるか(玄理)を家に引き入れることを。そして、その愛人と父によって、未芙由が家を追い出されてしまうことも……

8か月後――
未芙由は東京の高級住宅地にある一軒の家の前にたどり着く。そこは母の従妹、鹿島田尚子(大塚寧々)の家だった。
目の前にあったのは、未芙由を圧倒するような大きな二世帯住宅だった。2つあるインターホンの片方を押すと、「どなたですか?」と無愛想な老女の声が聞こえてくる。未芙由はなんとかセールスでも勧誘でもないことを信じて貰い、出てきた鹿島田久子(松原智恵子)に尚子から貰った手紙を見せる。そこには尚子の字で「あなたのお母さんにはお世話になったから、良かったらうちにいらっしゃい」と書かれてあった。
だが、久子から出てきた言葉は意外なものだった。
「わたしは何も聞いていません」
開かれたドアが固く閉ざされてしまう。

1時間後……やっと尚子が友人の福本仁美(国生さゆり)を連れて帰って来る。
ようやく家に入れてもらえる未芙由。鹿島田家は二世帯住宅で、久子は尚子の夫の母親だという。尚子は明るく優しかった。だが、この家で暮らしてゆくつもりだった未芙由は次に放った尚子の言葉に愕然とする。
「で、どのくらいいると思ってればいい? 一ヶ月?」

まっすぐに生きていても助けなんか絶対に来ない――
未芙由は、わずかな荷物と全財産の3万円を見る。鹿島田家のある高級住宅街で3万円で買える土地はたかだか片足分だ。せめて両足で立ちたい……
未芙由の中で何かが変わり始める。
そんなある日、未芙由は尚子の夫・雄太郎(羽場裕一)が部屋に愛人へのプレゼントを隠していたことに気付き……