浅野温子さんインタビュー「要潤の母親役『メイク抑え疲れ切った老女に』」
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第6話ではいよいよ最終章となる『資産家夫殺し裁判』篇がスタート。中山七里の原作最新刊『悪徳の輪舞曲(ロンド)』(講談社文庫)をベースにしたドラマが3話に渡って描かれる。
有終の美を飾るゲストが浅野温子。まさにラスボス感満載!元少年A・御子柴(要潤)の母として登場するだけでなく、自身が再婚相手を殺した罪で起訴され、その弁護を息子である御子柴に頼んだ事で約30年ぶりに親子再会を果す役なのだ。そんな中、衣装合わせに登場した浅野は、今回はあえてメイクをおさえ、疲れ切った老女として御子柴の母を演じることを提案。その女優魂に監督やプロデューサーも圧倒されたという。まさに本物の女優・浅野温子。そんな浅野に話を聞いてみた……
「わかってあげられない」役だからこそ「わかったふうな台詞になるのは嫌だ」
- 元少年Aの母・成沢郁美役について
- この役の事はわかってあげられないですよね、本当に。この女性(=郁美)が一体どうやって生きてきたのかをずっと抱えながらセリフの一言一言を言わなきゃいけないと思うと本当に重いなぁっていうのがすごくありました。
(御子柴が少年期に犯した)あの事件後20年以上という年月の経過があったから言えた言葉が(台本に)いっぱいあるんですよね。それが自分のなかで消化できないと(台詞を)言えないというか…変な話、台詞だけ覚えて言うのは出来ちゃうんだけど、その台詞を吐くまでの心境に至るのにはやっぱり時間がかかりましたよね。
今でもまだ自分の中で消化できているとは思っていないんだけれども、この人(=郁美)は結局消化できないままずっと生きているんだろうなっていうところで自分の中で良し!としないといけないなと思っているんですね。だってやっぱりわからないから。だからこそ、演じるなかで“わかったふうな台詞”になっちゃうのは嫌だなって思いながらやっています。
というのも、殺人者の役というはやったことがありますが、犯罪者の母親役は初めて。しかも今回は少年犯罪という特殊さもあり、自分が産み育てた母親だからこそ責任を突き付けられるじゃないですか。何がいけなかったんだろうって考えたところで答えは結局わからないし。はっきり言ってこうした役は初めてで、かなり難しいですね。
約30年ぶり親子再会は「見ている人が危機感を覚えるぐらいチグハグでいい」
- 親子が再会する面会室シーンについて
- 約30ぶりの再会だから(御子柴と郁美の)2人のやりとりがあんまり上手い具合になっちゃうとおかしいですよね。齟齬が生じないとおかしいし、変な間(ま)ができるのも当然な場面だし、あんまりテンポ良くやっちゃうと嘘臭いし。
- 最後きちんと御子柴礼司が頭を下げられるようになるまで持って行かなきゃいけなくて、その点で言うと私(の台詞)は、押しの一手。それを御子柴(要)さんがどういうふうに動いて、最後どうやって納得してくれるのか。そこまでの流れが、どんだけチグハグでもいい、見ている人(視聴者)が危機感を覚えるぐらいじゃないとおかしいと思うし。私のどの言葉(台詞)で、要潤という役者さんがどう受け取り、どう動いたのか、予定調和じゃない演技を楽しみにしていてもらえたらいいかな、と思っています。
- 共演者について
- 要(潤)さんは初めてです。ベッキーさんとはNHKの情報バラエティー番組で、10年以上前に、ベッキーさんが司会で、私がゲストというカタチでご一緒しました。あと、カンちゃん(津田寛治)とは『水戸黄門』で一緒だったって言うんですけど、私は(津田演じる)風車の弥七さんが登場しないところに出たので、そこですれ違った感じかな(笑)。あと今回、私の旦那さん(再婚相手・成沢拓馬)役の市山(貴章)さんは41年ぶり(爆笑)!
イケメンに成長した子役との共演に「楽しみだけど、ちょっと怖い」
- 共演で言うと(御子柴の少年時代を演じる)大西利空くんもいますが…
- (とても嬉しそうな声で)あのコマイのがいたよ! あの子(大西)は『なるようになるさ*』っていう橋田寿賀子さんのドラマの時に、舘(ひろし)さんと私(演じる夫婦)のお店で働く、従業員の息子役で出ていたんですよ。結構、舘さんが可愛がっていて(撮影中)ウチのお店にずっといたっていうのがありまして。1年ぐらい一緒だったのかな、パート2まであったんで。
*2013.7-9月期のTBS金曜ドラマ、シーズン2は翌年2014.4-6月期の火曜ドラマで放送。
そのドラマの後、映画の現場に遊びに来たけど、それはドラマのすぐ後だったから、そんなに変わってなかったの、カタチが(笑)。え? イケメンに成長しているの⁉ 楽しみは楽しみだけど、ちょっと怖いねー。なんかねー、一緒にやった子がどんどん大きくなって。今13歳? 中学1年? ワーオ! 今後共演するシーンも結構あるんで楽しみです!
明日放送の第6話では、要潤演じる現在の御子柴との接見・法廷シーンに加え、御子柴が事件を犯す前の園部信一郎(大西利空)との回想シーンもあると言う。約30年の時を髪型など見た目はもちろん、話し方や仕草などで巧みに演じ分ける浅野。
これまで通り、検事の岬(津田寛治)との法廷での舌戦や、二転三転する痛快法廷劇はもちろん、6話以降は母(浅野温子)だけじゃなく妹(森脇英理子)も登場。御子柴があの事件以来ずっと避けてきた“家族”とどう向き合うのかも見逃せないポイントだ!