毎週土曜よる11時40分

SPECIALスペシャル

それぞれのクランアップ
美里と美佐子“W田中”火花散らすもエンケンにベタ惚れ

残すところあと2話となったオトナの土ドラ『それぞれの断崖』。第7話では、志方恭一郎(遠藤憲一)の息子を殺害した八巻満(清水大登)が少年院から退院することが決まる。志方は、満と向き合い、いずれ、八巻はつみ(田中美里)と3人で暮らそうと覚悟を決める。そのことを離婚した雪子(田中美佐子)に話す。そこには、それぞれの決断が…。
梅雨の時期にスタートした収録は、先だって無事終了。クランクアップを迎えた田中美里、田中美佐子、そして遠藤憲一に感想を聞いた。

田中美里「どんな時も志方さんとして反応してくれた」

志方の息子を殺害した加害者の母・八巻はつみを演じた田中美里。幸せになってはいけないー
そう思いながらも、救いを求め禁断愛に溺れていく難役に挑んだ。

クランクアップの感想は?

ちゃんと終わりってくるんだなぁっていうぐらい(笑)本当に濃密な時間だった。長いようでクランクアップまであっというま! 笑えるシーンがあまりなかったんですけど、いざ終わってしまうと思うと寂しい感じがしますね。

はつみという役として印象に残ったシーンは?

第3話で志方さんが初めて店に来た後、歩道橋の上で2人で話すシーン。私の「生きていくって辛いですね」の台詞の後に「辛くても生きていくしかない」って言われて、そこが志方さんに(その時点では丹野と偽っているが)心をクッと持っていかれた瞬間でもあったので、すごく印象深いです。

撮影中のエピソードは?

遠藤さんが結構パロディーチックなことをしてくれて。例えば、志方さんとはつみが別れを決意して離れ離れになろうとしているシーンで、小指だけ手をつないできて「これでカメラを下に振ったら手を繋いでいるって、どう?」とか。はつみが弁護士事務所の扉から出て左側のエレベーターに乗るのを、志方さんが反対側の階段に隠れて見ているというシーンで、私がわざと間違えて階段側に行ってみたら、急きょ靴ひもを結ぶフリしてごまかしたり(笑)。どんな時もちゃんと志方さんとして反応してくれていて、私はそれを見て笑っていましたね~。

「自分が弱っている時、誰かに頼りたくなる可能性を演じたかった」

最終話に向け、視聴者の方へメッセージをお願いします。

ありえないシチュエーションもあると思うんですけど、ドラマほど劇的じゃなくても自分が弱っている時にそうなって(誰かに頼って)しまうという可能性をリアルに演じられたらいいなと思ってやってきました。最終的には(このドラマのテーマ)「崩壊と再生」の「再生」の部分がどんなふうに描かれるのか、また、ドラマの題名のように、それぞれが崖っぷちになった時にどんな選択をしていくのかが見せ場だと思うので最終話までぜひ見て欲しいなと思います!

田中美佐子「遠藤さんの演技が上手すぎて本当に腹立った」

志方の妻・雪子を演じた田中美佐子。ドラマでは、普段では親しい遠藤に裏切られ、また役にはまるあまり、台本を開くだけでドキドキ“心臓バクバク”の夜が続き、収録中は苦しくて仕方なかったという。

印象に残ったシーンは?

志方が「彼女(はつみ)は傷ついているんだ、ほっとけなくなった」と言うシーン。遠藤さん(の演技)が上手すぎて本当に腹立つっていうか、キレるってこういうことかと。私(雪子)に何ひとつ気を遣わず、彼女(はつみ)の全てを気にかけて心配して、その台詞で遠藤さんがポロッと泣いたんですよ。男って弱い生き物だっていうのを彼(遠藤)が前面に出したシーンだったので、それを見せていただけて、それがもし現実だったら拳が出たと思う(笑)。
そのシーンの最後に『彼女を好きになってしまった』という台詞があったんですけど、そこに『これ以上、傷つけたくなかった』『そのうちほっとけなくなった』という台詞を遠藤さんが足したんですよ。台本では『彼女を好きになってしまった』と劇的に言う感じだったんですが、それは「ドラマチックすぎてリアルじゃないし、好きになったっていう事より、僕がこっちを言いたい」と言って。そのシーンが一番印象的でした。

撮影中、印象に残ったエピソードは?

遠藤さんがリアルを求めて諦めずに色々なシーンの相談を(スタッフに)してくださったので(自分も)やれたと言う気持ちがある。1カットで取れないくらい長い私のシーンを、わざわざ「1カットでやってくれ」ってお願いしてくださったり。(遠藤さんは)これだけの台詞(量)があるから本来なら自分のことでいっぱいいっぱいにならないとおかしい人なのに「大丈夫?」とか全員にお伺いを立てながら進めていた。彼の気の回し方が、この良い現場を生んだのかなって思います。

最後、遠藤さんに声をかけるとするなら?

ここまでひどい役をよく引き受けたと思うし、この(志方)役を本当にやりきった遠藤さんはすごいなと思う。途中おかしくなりそうになっていたけど、それでも笑顔で(現場に)来ていたんで、本当にお疲れ様だけです!

遠藤憲一「悔いのない燃焼できた2か月でした!」

被害者の父にして、加害者の母と禁断の愛に堕ちるという、絶対に共感を得られない役にあえて臨んだ遠藤。田中美佐子いわく『腹が立つほど素敵だった』遠藤の演技。収録中は、寝ても覚めても志方のことばかり考えていたそうだ。

印象に残ったシーンは?

どのシーンって言うより、ほとんどのシーン。今回、色んな面に関してアイデアを出した。こうしてみたい、ああしてみたいって今までで一番言った(現場な)ので、それを受け止めてくれた西本プロデューサーをはじめスタッフの皆さんに、とにかく感謝したい。みんなの知恵が集まり、最終的に逃げ出す人も出ず(笑)、よく一緒になってやってくれたなと思っているんで、もう悔いない!
ホント今回(のドラマは)は寝ても覚めてもって感じだったね。起きた時からすぐその日の(撮影の)ことをがウワーッと浮かんでいるし、寝る直前まで浮かんでいるし。普段はあまり映画とか見ないのにDVDを買っていろいろ見て、空気感だったり知恵をもらった。なんか燃焼できた2か月でした!

遠藤がオールアップとなった撮影については次週、最終話の前にレポートする。お楽しみに!