――撮影現場の雰囲気はいかがですか?
スタッフとキャストの皆さんが家族みたいに仲良しなので、撮影現場はとても和気あいあいとしていてすごく楽しいです。私は第2シリーズからの参加なので、もうすでに出来上がっているこのチームにちゃんとなじめるだろうかと、正直最初は不安でした。でも、そんな私の不安を一番に拭い去ってくれたのが、他でもない羽田さんで…。
羽田さんと共演させていただくのは今回で3回目なのですが、今までしっかりお芝居で絡んだことはなかったので大丈夫かなと思いながら顔合わせに行ったら、羽田さんが私の顔を見るなり「羊ちゃん、よろしくね」って笑顔で声をかけてくださったんです。おかげですごく気持ちが楽になって、現場にもすんなり溶け込むことができました。
野際さんとは、撮影の最初の頃に「名前は何て読むの?」って聞かれたので、「吉田“ヒツジ”と書いて“ヨウ”って読むんです」とお答えしたら、野際さんが「吉田“ヨウ”ね、ヨウ、ヨウ、ヨシダヨウ♪」っていきなりラップ調で言葉遊びをされたんですよ(笑)。あまりに意外なリアクションに、私はもう度肝を抜かれまして…(笑)。多分、緊張している私を和ませようとしてくださったんでしょうね。そんな主演のお2人のお心遣いが本当にありがたかったです。
――ご自身が演じる有紀子というキャラクターにどんな印象をもたれましたか?
一見完璧に見える有紀子ですが、実はとても不器用な人だなと感じました。女将の仕事はとても器用にこなすのに、例えば人の気持ちを慮るとか、そういう事が無意識で苦手。彼女の言葉はいちいち正しいんです。でも「正しい事を言うことが正解とは限らない」ということに気づけない。旅館の一人娘として生まれて、女将になるべくして厳しく育てられた人だから、他人にも厳しさを求めちゃうんでしょうね。『かぐらや』の女将の座を巡って奈緒子さんと競い合うので、ある意味ヒール役とも言えますが、有紀子にとっては女将になることが何よりも大事なんです。その思いさえぶれずに演じられれば、視聴者の方にも有紀子が抱える事情を汲み取っていただけるんじゃないかと信じて、演じています。
――劇中で有紀子は、本当に美しい所作を披露していますよね。
もしも“ミス優雅コンテスト”っていう大会があったら、有紀子はぶっちぎりの優勝だと思いますね(笑)。それぐらい、台本の至るところに“優雅”という言葉がちりばめられていて。例えば「優雅な仕草でおじぎをする」とか「優雅な所作で生け花をする」とか。でも実際の私は、そんな有紀子とは似ても似つかないガサツでおおざっぱなO型なので、所作指導の先生に厳しく教えていただきました(笑)。
――有紀子の衣装はほとんどが着物ですが、吉田さんご自身もお着物がお好きだとか…。
そうなんです。だからもう衣装合わせの時は、はしゃいじゃって…。全パターンの着物を写真に撮りました(笑)。もともと私はアンティーク着物が大好きで、普段からよく着物を着て落語とかお芝居を観に行ったりするのですが、遊びのある着方が好きなんです。帯締めに花をつけてみたり、着物に帽子とサンダルを合わせてみたり。そんな風に着物も1つのファッションとして楽しめれば、自然と着物に対するハードルも低くなるんじゃないかと思うので、ぜひ自由な感覚で、今の若い人たちにも着物にチャレンジしてみて欲しいですね。
――最後に、有紀子の視点で見どころを教えてください。
今回例えるなら、奈緒子さんは太陽で有紀子は月。それぞれに違った良さがある事を認めた上で、まさに「陽だまり」のような奈緒子さんにあの手この手で迫る有紀子の仕掛けは功を奏するのでしょうか?あとはやはり、シーン毎に変わる着物の表情とコーディネートにも注目してドラマを楽しんでいただけたらうれしいです。