関東の病院で医師として働く大河内葉子(田中麗奈)。彼女のもとに小説家志望の青年・難波聖人(中村蒼)が腹部の痛みを訴え運ばれてきた。すぐに急性虫垂炎だと診断し、テキパキと処置をしていく葉子。激痛に耐える難波の顔を両手で優しく包み、笑顔を見せる。地獄の苦しみの中、美しい女神のような葉子の姿に、難波の気持ちは少し和らいだ。
手術は無事に成功。歩けるまでに回復した難波は、ふとしたきっかけで清掃員の芳賀明善(篠原篤)と知り合い意気投合する。その日の夜、病室を整理していた難波は、引き出しの奥からメモ用紙を見つける。そこには病室名と患者の名前が汚い字で雑然と書かれていた。好奇心を覚えた難波は、病院の事情に詳しい芳賀に調べてもらうことに。するとメモ用紙に書かれた患者は全員亡くなっていることが分かり、難波は妙な胸騒ぎを覚える。
一方、後輩に強引にパーティに誘われた葉子は、その場で大手ホテルチェーンの御曹司・大塚光(大倉孝二)と出会う。一目ぼれした大塚は、早速葉子を口説きにかかる。
葉子の担当患者である寝たきり老女の容態に変化があり、新たな治療が必要となった。そのことを娘の小林照美(朝加真由美)に告げる。入院費に加えて新たな治療費に悩む照美に対し、葉子は力になれる事があればできる限りの事をすると、優しく微笑む。
しかし照美がいなくなると、葉子はベッドの傍らから、眠っていて反応のない老女を冷たく見下ろし、語りかける。
「娘さん、お金が大変なんだって………どうしたらいい?」
葉子は教会の懺悔室を訪れる。そこで神父(伊武雅刀)に“悪魔の話”に興味があると話す。「人を傷つけても何とも思わない、悪への衝動が抑えられなくなる」と声を上げる葉子。そんな葉子に神父は、「人のためになる善い事をすれば心の救いが与えられる」と諭す。その言葉を受け葉子が向かった先は、寝たきりの老女の病室だった―――