「3、2、1…(バルーンからそっと手を放す)」
上空に上がっていく大きなバルーン。ぐんぐん上昇し、そのまま宇宙空間との境目、上空3万メートルの成層圏へ!
子どもたちがメッセージを書いた紙飛行機を成層圏で飛ばし、宇宙を背景に撮影するという壮大なプロジェクト。
カメラが捉えたのは息を呑む絶景でした…。
今年2月にリニューアルオープンした岐阜県のかかみがはら航空宇宙博物館。航空機や宇宙に関する展示をする国内最大級の施設です。
オープンを記念して、博物館では上空3万メートルの成層圏から紙飛行機を飛ばすプロジェクトを企画。
紙飛行機を作るのは子供たちです。それぞれ思い思いのメッセージを書き込みました。
Q.何て書いたの?
男の子「『僕も(名前が)そら だから宇宙に行ってみたいです』 って」
女の子「『宇宙人と会って一緒に遊びたいです!』って書きました」
男の子「住所を…個人情報になるから見せられないけど」
Q.なんで住所を書いたのかな?
男の子「(紙飛行機が)帰ってきてほしいから」
そして迎えた打ち上げ当日。
場所は三重県鳥羽市の公園。専門のスタッフと、技術的な監修をする大学の専門家が集まりました。
「まず上昇させるために気球を使います。そして打ち上げの60分後、紙飛行機の格納モジュールにあるラッチが開いて、中から紙飛行機が落ちていく仕掛けです」(企画を監修する佐原理・徳島大学大学院准教授)
今回の計画では、直径およそ2mのバルーンに、紙飛行機を入れる装置と360度撮影できるカメラをぶら下げて打ち上げます。
上空3万メートル近くまで上昇したら、紙飛行機を放出。その後、バルーンが割れて海に落ちてくるカメラを、GPSを頼りに回収する予定です。
いよいよ最初の打ち上げの瞬間…。
「いきまーす!3、2、1 シュッ!」
バルーンは順調にあがりました。が、カメラが海に落ちたあとGPSの電波が途絶え、回収が出来ず…。
その10日後に再び試みようとしますが、上空は雲一つないものの、回収場所の海の波が高く、急きょ打ち上げは延期に。
そして3月29日。失敗や延期に関係者が気を揉む中、3回目の挑戦です。
「3、2、1…(バルーンからそっと手を放す)」
バルーンは順調にあがっていき、空の彼方へ…。
その後、カメラの回収班が船で出港。
今度は、静岡県の御前崎沖で、無事に落ちて来たカメラの回収に成功しました。
そのカメラが捉えた画像がこちら…。
打ち上げから10分。高度約8400mからは、愛知県の渥美半島や静岡県の浜名湖の姿もくっきり。気温は何と約マイナス35度です。
高度があがるにつれ、空は真っ暗になっていきます。そう、画面で黒く見えているのは『宇宙』なんです。
そして、打ち上げからおよそ60分。
地球の丸みがわかる上空およそ3万メートルに達したその時、見事紙飛行機が放出され宙を舞いました!無事に成層圏を飛んでいく紙飛行機…。プロジェクトは成功です。
その2日後。
かかみがはら航空宇宙博物館には、多くの子どもたちが集まり、上空で撮影された映像をみんなで鑑賞。
子どもたち「おぉー!」
自分たちが作った紙飛行機が、上空3万メートルから放出された場面が会場で映し出されると、子どもたちからは歓声が上がりました。
Q.飛行機が飛んでいくのどうだった?
男の子「こんなにきれいに飛ぶとは思わなかったです。(宇宙)近いなって思いました。」
別の男の子「僕が折ったのは見えなかったけど、飛行機が宇宙から飛んでるように見えてすごかったです」
宇宙のすぐ近くを飛んだ、僕の、私の紙飛行機。
空や宇宙を身近に感じる素敵な思い出になりました。