雨の中、ランドセルを背負って元気に登校する小学生。ところが今、子どもたちが通学の時に持つ“荷物”が課題になっています。ランドセルが「少し重いんじゃないの?」という議論が巻き起こっているんです。
6日、名古屋市中区の橘小学校を取材すると、ランドセルだけでなく、水筒や大きな紙袋など、子どもたちはかなりの荷物を手に登校していました。
持って通う荷物の重さがどれぐらいあるのか、6年生の児童に協力してもらい量ってみると…?
1人目は4.5キロ、2人目は5.5キロ…、平均で5.4キロでした。一番重い子は、ランドセルと水筒で7キロを超えました。
Q.ランドセルもいつもこれくらいの重さ?
女の子:「はい、重いです」
「毎日持っているから慣れた!」という元気な子もいましたが、中にはこんな声も…。
別の女の子:
「やっぱり最初のころはすごく重くてつらかったですね。登校の時にすごく肩が痛くて、教科書を減らしたいなと思ってしまいました」
子どもたちの荷物、実は以前よりも重たくなっているそうです。
橘小学校・久野賢二校長:
「学習内容が濃くなってきていて、それに伴って教科書も厚くなっています。したがって、その日の時間割を整えたときのランドセルの重さが以前より重たくなっている傾向はあるんじゃないかなと思います」
「脱ゆとり教育」で教科書が厚く、重くなっているというのです。実際に6年生が学ぶ8教科の教科書を見てみると…。
杉山真一キャスター:
「ゆとり教育が始まった16年前の教科書と比べますと、厚みが大きく違いますよね。同じ教科でサイズを比べてみても差があります、最近随分と教科書が大きくなったんですね」
その差は画像の通り、一目瞭然!ゆとり教育が始まった2002年が合わせて1.34キロだったのに対し、いまは2.7キロと、倍になっています。
こうした事態を受けて、5日名古屋市教育委員会が出したのが、教科書などを持ち帰らず学校に置いておく、いわゆる「置き勉」を勧める通知。
子どもたちの通学時の負担を減らすため、資料集のほか、地図帳や音楽の教科書、リコーダーなどを、学校に置いて帰ってよいものの具体例に挙げています。
ただ学校では、すでに個別の判断で対処しているところもあり、橘小学校でも副教材を中心に「置き勉」を認めています。
この「置き勉」について、街の人に聞いてみると…
男性:
「賛成賛成!うちの近くにも小学校があるけど、みんな重たそうにたくさん荷物を持っているからね」
女性:
「昔の子はたくましかったので…今の子は…時代の流れもあるのでなんとも言えないですけど」
別の女性:
「必要なものまで置いてきたら、あとで学校にまた取りに行くことになるので、その指導を学校がしてくれていて、親も子供にきちんと話ができていて、子供も納得していれば全然大丈夫です」
通学時に持つ荷物は、できるだけその日必要なものだけに絞ろうという「置き勉」。通知を出した市教委は、ルール作りを含めて学校と子どもたち、保護者がしっかり考え、話し合う機会にしてほしいと話しています。
名古屋市立大学病院・整形外科の水谷潤医師によりますと、背骨の変形や姿勢の悪化の根拠はありませんが、アメリカの小児学会ではバックパックの重さを体重の約10%にするよう提言しているということです。