■愛知県民、観覧車大好き?
名古屋駅を新幹線で東京方面に向かって走っていくと、約20分の間に次々と車窓に現れるものがあります。それは、観覧車!
名古屋市内、安城市、蒲郡市…なぜここまで多いのか、もしかしたら愛知県民は特に観覧車が好きなのか…?調べてみました。
まずは、名古屋・栄の街で聞いてみると…。
Q.愛知県に観覧車が多いイメージはありますか?
男性:
「いや、それは特に感じてはいなかったです」
女性:
「深く考えたことはないですけど…」
別の女性:
「え~あんまり(印象は)なかったです」
街で聞いても観覧車が多いという認識はないようです。そこで、都会のど真ん中にある全国的にも珍しい「サンシャインサカエ スカイボート」の観覧車まで行ってみました。
■名古屋・栄では観覧車に乗ると隣の観覧車が見える
この観覧車はビルの高さにすると11階程度。しばらくすると、すぐ近くのデパート、三越の屋上観覧車が見えてきました。
三越の観覧車は日本に現存する屋上観覧車の中で最も古く、有形文化財にも指定されています。栄の街中で2基も観覧車があるということは、やはり愛知県民は観覧車が好きなのか…。
運営会社の人に話を聞いてみると…?
京楽 事業開発部・課長 清水亮輔さん:
「愛知県は観覧車が多いというのは、私どもも聞いているんですけれども、ちょっとなぜ多いかというのは私どもも分からなくて…」
同・西尾紗由里さん:
「なんで多いんでしょうね、ちょっと…分からないですね」
■三河地方には「小さめ」がそこここに…
愛知県に多いということは耳にしたことがあるそうですが、理由までは分からないとのことでした。
しかし、清水さんによると「安城市などに小さい観覧車がたくさんある」ということで、車で安城市へ。すると住宅街の中に観覧車を発見!
場所は安城市の堀内公園。確かにそれほど大きくはありませんが、想像していたよりは大きく、高さ35mの観覧車。ただ、安い!大人も子供も1回100円(3歳以下は無料)です。
せっかくなので担当者と一緒に乗ってみると、小ささを実感。大人2人が肩を並べると窮屈なサイズです。
堀内公園副所長 境悠太さん:
「子ども向けの公園ですので、やはりちょっときついかなと…」
この観覧車の上から見えたのは「東海道新幹線」。乗ってみないとわからない光景でした。
■公園に観覧車…市民に聞いてみたら「普通」
ところで、冷静に考えてみると「公園に観覧車」ということ自体が珍しい気が。遊びに来た親子に聞いてみると…。
「普通かもしれない。ここら辺は。岡崎にもあるし、碧南にもあるし」
実は、近隣の岡崎市(南公園)にも、碧南市(明石公園)にも観覧車が…。刈谷市のサービスエリア「ハイウェイオアシス」にも観覧車があります。ちなみに全国のサービスエリアで観覧車があるのは4カ所だけです。
また、豊橋市(のんほいパーク)、蒲郡市(ラグナシア)にも観覧車があり、三河地方だけで6基の観覧車があることがわかりました。
そして取材を進めているうちに、愛知県民の観覧車好きがわかるエピソードを見つけました。
場所は、長久手市のモリコロパーク。2005年の愛知万博のシンボルとしてつくられた高さ88メートル、東海地方最大級の観覧車です。上がっていくと、名古屋駅の高層ビル群や、御嶽山まで一望できます。
観覧車の係の人によると、万博終了後、他のパビリオン同様、取り壊される予定でしたが、地域の強い要望で残すことになったといいます。愛知県民の観覧車愛を証明するエピソードとも言えそうです。
■観覧車研究家が語る“納得のワケ”
愛知県内に観覧車が多い理由について、「観覧車の研究家」の方に話を聞いてみました。
Q.愛知県に観覧車が多い理由は分かりますか?
観覧車研究家 福井優子さん:
「一番肝心なことは、愛知県というのはすごく豊かな土地柄だということです。豊かというのは、トヨタ、三菱重工、ブラザーなどがあって、税収があるということは各都市がやはり潤っているのかなと思うんですね。市営の公園の中にある観覧車も1回乗るのが100円というのはやはり、豊かな自治体が多い県なのかな思います」
ようやく納得の見解が…。
理由1つは、自治体としての豊かさ。観覧車には莫大な建設費や維持費がかかりますが、自治体の豊かな財政基盤が支えているという見方。
そしてもう1つ…。
福井さん:
「愛知県は平地が多いでしょう、あまり山や崖っぷちがあるとかではなくて。平坦な土地も多いですし、観覧車が立ちやすい土地がある」
2つめは濃尾平野が広がり、立地も抜群。しかも自然の風景から都会のビル群まで見渡せる、“程良い都会”という点も観覧車向けと言えそうです。
福井さん:
「気候は積雪もあまりなく、だから年中営業ができて、愛知県はすごく観覧車にいい環境が整っていると思います」
愛知県の観覧車は現在、維持管理されているのは13基。東京や大阪、そして広い北海道も押さえて1位の数字でした。