運転免許証の更新ができず、免許が失効してしまう…。そんなケースが高齢者ドライバーの中で起きています。

 そのわけは、更新に必要な高齢者講習を受ける人が多すぎて、更新時期に間に合わず、結果、失効するというものです。警察も事態を重く見て対応策を検討しています。

 年々増加傾向にある高齢者の事故。アクセルとブレーキを踏み間違えて建物に突っ込んでしまうなど、運転操作を誤るケースが増えています。

 こうした事態を受けて75歳以上のドライバーが免許を更新する際には、認知機能検査と高齢者講習を受けることが道路交通法で義務付けられています。ところが、この「高齢者講習」が壁になり、運転に問題がない人でも免許を更新できない事態が起きています。

 去年高齢者講習を受けた人の数はおよそ16万人。今年はさらに増えて19万4000人余りと見込まれていて、2024年には30万人を超えると予想されています。

 更新に必要な認知機能検査と高齢者講習。

 75歳以上になる高齢者ドライバーには有効期間が満了する190日前に通知書が届きます。通知が届いた高齢者は認知機能検査を受けます。検査結果で、運転に問題がないと判断されれば、高齢者講習を受け、免許を更新することになります。

 4日も名古屋市天白区の運転免許試験場には講習を終えた高齢者の姿が…。

講習を受けた男性(78):
「前回(の更新時に)、自動車学校が混んでいると分かっていたので早めに予約したからよかったけど、知らない方は間際になって予約すると全然自動車学校が空いていない」

 自動車学校が空いていない…。

 高齢者講習は委託を受けた自動車学校で受けることになっていますが、増え続ける対象者に対応しきれなくなっています。

愛知県警 運転免許課 姫嶋祥光調査官:
「認知機能検査は70日以上、高齢者講習で90日弱の待ち日数が生じているところです」

 自動車学校によっては6か月先まで予約が入っているところもあり、必要な検査と講習が更新時期に間に合わず、免許が失効するケースが出てきています。

 こうした失効を防ぐため愛知県警は…。

運転免許課 姫嶋調査官:
「平針の運転免許試験場と豊川の東三河運転免許センターの2カ所に、認知機能検査室を1室ずつ設けまして、各施設に年間に1万人以上、合計で2万人以上の方の認知機能検査を直営で実施したいと思います」

 これまで委託していた認知機能検査を県警が行い、自動車学校はより多くの高齢者講習に対応できるように調整しているといいます。

 さらに、更新期限までに間に合わない場合は、延長措置をとって対応するので、失効する前に相談してほしいとしています。

 運転に問題がない人が免許を失うということは避けたい、そのためにも通知が届いた時点で早めに予約を入れ、余裕を持ったスケジュールで更新手続きを行う必要があります。

 検査と講習は有効期間満了日の6か月前から受けることができ、更新は誕生日の前後1カ月で行うことができます。

 もし失効してしまっても、半年以内であれば高齢者講習を受けて、学科と技能試験は免除で更新ができるため、覚えておくことが大切です。