■大人顔負けの技術も、その素顔は…

 5月11日と12日の2日間、新潟県で行われたスケートボードの日本代表・強化指定選手を決める大会。

 その舞台で、大勢の報道陣に囲まれていたのは、名古屋の中学1年生、織田夢海(おだ・ゆめか)選手(12)。

 大人顔負けの技術で世界選手権にも出場した日本のトップボーダーの一人ですが…。

(3月の取材時)
Q.オリンピックは何年に1度か知っていますか?
織田選手:
「1年?次、2020年でしょ。2020年しかわからない!」

 実は“マイペース”の中学生です。

■五輪へ…12歳で抱える重圧の大きさ

 技の難易度や完成度などを審判が採点するスケートボード。

 織田選手が出る種目「ストリート」では、45秒間何度でも技にトライできる「ラン」と一発の技を見せる「ベストトリック」、合計7本を滑り、上位4本の合計点で競います。

 織田選手は大会の10日前、5月1日から会場に慣れるために、ゴールデンウィークもずっと新潟で練習してきました。

 満を持して挑んだ大会…。

 しかし準決勝では思わぬミスを連発し、ラスト1本、「決めなければ敗退」というピンチにまで追い込まれましたが、最後はしっかり着地。

 この日の自己最高点をマークし、逆転で決勝進出を決めました。

 試合後、家族の元へ戻ると、涙を流した織田選手。

織田選手:
「全然練習とかでも決められなかったから、本番で決められてうれしかったから、涙がでました。これを成功させないと無理かなと思って」

 オリンピックへ向けた大事な一戦で、織田選手は大きなプレッシャーと戦っていたのです。

■“車”に泊まって、いざ決勝へ

 その夜、会場を出た織田選手が向かったのは駐車場…。

織田選手:
「このあとはお風呂…行ってからのご飯」

Q.寝る場所は?
「車で寝ます」

 新潟は、10泊のうち半分ほど車に寝泊まりしていたという織田選手。

Q.しんどくないですか?
織田選手:
「いや、全然大丈夫!おやすみなさい」

 夜が明け、迎えた決勝当日…。

 戦うのは14才や、まだ小学生の10歳など同年代のライバルたちです。

 序盤、技を確実に決め、得点を重ねる織田選手。5本目には、大きく飛び上がりながら板を1回転させ着地する大技を成功させました。

 しかしライバルたちも譲らず、ラスト一本を残して織田選手は3位。

 最後は逆転優勝を狙って、大技に挑戦しましたが…惜しくも着地に失敗。

 織田選手は、得点を伸ばせず3位に終わりましたが、3枠しかない強化指定選手の座を勝ち取りました。

■見事“強化指定選手”に!目指すは“4年に1回”の晴れ舞台

織田選手:
「悔しかった。オリンピックまでにもっと練習して、成功率をあげられるように頑張りたい」

Q.オリンピックが何年に一度かわかりますか?
織田選手:
「もうわかった(笑) 4年に1回!」

 初めての重圧と、苦い悔しさ…。すべてを糧に、夢の舞台を目指します。