参議院選挙は7月21日が投開票日。政党の公認や推薦のある候補者ではなく、政党要件を満たさないいわゆる「諸派」の候補者らも個性的な主張を取材しました。愛知選挙区で立候補している5人の訴えは…?
■NHKから国民を守る党・末永友香梨さん(37)
ベビーカーを押してやって来た場所は、まさに「敵陣」…。
末永さん:
「NHK名古屋のビルの目の前でございます。こちらで改めて『NHKをぶっ壊す』と言いたいと思います」
こぶしを握って訴えるNHKから国民を守る党・末永友香梨さん(37)。
末永さん:
「(NHKで)政見放送を収録してまいりました。異様なほどNHKの方が丁寧な対応をしてくださいました。笑顔で『ぶっ壊す!』って言ってるのに、なにも触れずに(笑)」
春日井市議の夫、それに生後2か月の長男と3人で戦う選挙戦。彼女が駆使するのがYouTube、これまでに51本の動画をアップしていて再生回数はあわせて8万5000回にのぼります。ところでなぜNHKを壊したいんですか?
末永さん:
「NHKの集金人が1人暮らしの時に、すごく高い頻度で来たのが怖いというところがきっかけで、NHKがスクランブル放送になることが一番公平性が高いということで、それに協力をする形で参議院選挙に出馬をすることにいたしました」
「NHK」のワンイシューで戦う末永さん。しかし最近ちょっとした変化が…。赤ちゃんの検診を終え病院を出てきた末永夫妻。何やらスマホをいじっています。
■いまはYouTubeで有権者との対話も
夫の啓さん:
「動画に対して有権者の方からコメントが入るので、そのレスポンスの動画を(撮ろうと)」
末永候補:
「参院選に勝ってNHKをぶっ壊す!皇室の継承、憲法改正、消費税増税、辺野古移転、エネルギー供給の5つについて。エネルギー供給って原発の話かな?原発はこれ難しいなと思うんですけど…」
夫の啓さん:
「ワンイシューでもこうやって皆さん意見を飛ばしてくるよね」
末永さん:
「そりゃそうですよ、国のことですから」
ネットを通じて有権者と様々な政策を議論するようになりました。ワンイシューから日本を変えるのか?
末永候補:
「ボランティアの皆さんと一緒にNHKをぶっ壊す!」
■オリーブの木・橋本勉さん(65)
橋本さん:
「国会議員の年収は400万にしなさい!われわれの気持ちがわかるじゃないですか!」
オリーブの木・橋本勉さん(65)。ところで「オリーブの木」ってちょっと変わった名前…。
もともと「オリーブの木」とは1995年イタリアで結成された12の中道左派政党の連合体のこと。今回の参院選を前に市民団体などが結集し、「消費税減税や原発ゼロ」を訴えています。
その橋本さん、実は…。
橋本さん:
「私は民主党の時に消費税を上げることに反対してクビになりました」
かつて民主党の衆議員議員だったんです。当時は組織に支えられた選挙でしたが、今回は…。
橋本さん:
「やっぱり現場に行って握手することですね。温度ですよ温度、温度最高!民主党の時は労働組合、今ごろ巡りやってたんですよ。みんな設定してもらってるからね。でもこういうとこはもうゼロの人に向かっていくっていうところですよね。やっぱりね~20万人くらい(握手)やりたいね」
■労働の開放をめざす労働者党・古川均さん(65)
バスを待つサラリーマンたちに呼びかける男性。労働の開放をめざす労働者党・古川均さん(65)です。その傍らでチラシを配るのは富永吉春さん(71)。ニ人をつなぐものとは?
富永さん:
「やっぱり『マルクス主義』だよね。それだけだよ。(普段は)生涯学習センターでマルクスの資本論の勉強」
学生運動に影響を受けた2人は40年にわたりマルクス主義を掲げ政治活動を続けていて、今回の選挙戦でも「搾取労働の廃止」などを訴えています。
■「右傾化している」という世の中で古川さんが主張すること
有権者に配ろうとしているのは小さな文字で埋め尽くしたチラシ。なかなか受け取ってもらえません。
古川さん:
「そりゃね、われわれもなかなか世の中厳しいなと。若者も政治的に右傾化しているじゃない」
低迷する左翼運動…。しかし、令和の時代にも訴えねばならないことがあるといいます。
古川さん:
「多くの介護職員が離職をしております。介護を全ての国民が、等しく一定期間担う。こういう政策を私たちは提案をしていきたい」
■安楽死制度を考える会・牛田宏幸さん(48)
投開票日まで1週間。なんとか掲示板にポスターが貼れました。安楽死制度を考える会・牛田宏幸さん(48)です。
牛田さん:
「人生の一つの選択として、最後は安楽死という選択肢もある」
安楽死制度を国会で議論し法制化すべきだと訴えます。そんな牛田さん、実は…。
牛田さん:
「マハラジャ名古屋の総支配人をしておりまして、その前はいろいろとディスコで働くことが多かったです」
■元マハラジャ総支配人の牛田さんが「安楽死」を訴える理由
なんとディスコの支配人をしていたそうです!でもどうして「安楽死」を考えることに・・?
牛田さん:
「年を取るにつれて、今病気になったらどうなるのか、精神的にも苦しいし、肉体的にも、もちろん経済的にも周りの人にも迷惑かけるし、そう考えると安楽死っていうのはもしかしたら本当に必要なのではないか」
■無所属・石井均さん(54)
石井さん:
「7番!ぼく7番です、あれ。これ僕以外全員張ってるってこと?」
ずらりと並ぶポスターの中、ポッカリと穴が開いています。
石井さん:
「寂しいですよ、そりゃね。(Q.ポスターは作った?)作らないです。ポスターの印刷会社に見積もりをお願いしたけど返事が返ってこなくてね。作れなかった」
■正真正銘の無所属候補は元銀行員 訴えるのは「消費税の廃止」
石井均さん(54)。政党の推薦や支援が一切ない正真正銘の無所属候補です。孤独な選挙戦、大変そうです。
石井さん:
「ここ30年間日本は消費税を段階的にあげてきて、要はお金持ち、富裕層・大企業を優遇して、大多数の一般市民を苦しめるような税制をしてきた」
石井さんは元銀行員、景気回復のために消費税を廃止すべきと訴えています。
■12人が乱立した参院選愛知選挙区!その他の候補者は
このほか、愛知選挙区には7人が立候補しています。投開票は7月21日です。
・公明党・新人 安江伸夫さん(32)
・国民民主党・現職 大塚耕平さん(59)
・日本共産党・新人 須山初美さん(40)
・社会民主党・新人 平山良平さん(71)
・日本維新の会・新人 岬麻紀さん(50)
・自由自民党・現職 酒井庸行さん(67)
・立憲民主党・新人 田島麻衣子さん(42)