名古屋・栄にある三越の『ライオン像』。実は9月20日にこれまでと位置が変わりました。ほんのちょっとの移動ですが、そこには三越の強い思いが込められていました。
名古屋三越前といえばお馴染み、栄の交差点をずっと見守り続けてきたライオン像。
(リポート)
「9月20日、蝶ネクタイとシルクハットでおめかししていたライオン像。これまであった場所から『10m』引っ越しました」
三越の担当者:
「そこが大事なんですよね~!お店の脇にひっそりとたたずんでいるのと、中央にドーンと君臨しているのとでは、存在感やお客様の認知度は全く異なると思います。一番分かりやすい場所に設置したいと思っていて、やっとそのタイミングを得て真ん中に戻ってくることとなりました」
街の人に聞いてみても…。
街の人:
「一番わかりやすい」
街の人:
「ライオン、場所によって全然違う感じがしますね」
名古屋三越が誕生したのは1980年、開店当初の映像を見てみると、確かに今と同じ、玄関の中央です。
そして2006年、三越のリニューアルをきっかけにライオン像は玄関の左隅へ。13年間を過ごしましたが、今回中央に戻ってきました。
ライオン像、全国の三越12店の玄関に置かれていますが、実はよく見ると全部表情が違うんです。同じ名古屋でも栄と星ヶ丘の店でも微妙に異なっていました。
ちなみに、1974年の写真を見ると、今栄の店でライオンがいる場所には別の動物が…。お店も三越ではなく、「オリエンタル中村」と書いてあります。
三越の担当者:
「実は1980年以前、『オリエンタル中村』という百貨店時代に、カンガルーの像をこちらに置いておりました」
名古屋三越の前にあった百貨店「オリエンタル中村」。1954年にオープンしたこの百貨店では、ライオンではなく、カンガルーが栄の交差点を見守っていました。
実はそのカンガルー像、三越の屋上に残されています。
オリエンタル中村は百貨店閉店後、ビルを三越に貸すなど不動産事業を運営していて、今の社長の平松さんが当時のことを教えてくれました。
平松社長:
「三越になる前はオリエンタル中村百貨店ということで、今のライオンがある場所にこれがあって、若い人たちは『エンタル、エンタル』と言って『エンタルのカンガルーの前で待とう』というのがキャッチフレーズだったんです」
40年前まではライオン前ならぬカンガルー前。なぜ守っているんですか?
平松社長:
「やっぱり歴史の1ページですよね。屋上に上がってきて昔あったよねって、孫とか次の世代に伝えられたらいいなと思います」
今回のライオン像の引っ越し、三越は「ライオン前で愛ましょう」というキャッチフレーズを掲げていて、待ち合わせスポットとしての利用に期待しています。