10月末の沖縄・首里城が焼け落ちた火事、そして4日に起きた岐阜・白川郷で合掌造り集落近くの小屋が燃えた火事…。この2つの火事の出火原因として、電気配線のトラブルが指摘されています。

 電気配線が原因の火事は、ついやってしまいがちな『たこ足配線』をすると私たちの住宅でも簡単に起こり得るものでした。

■住宅3棟が全焼した火災…出火原因は“電気コード”か

10月31日、愛知県豊田市大野瀬町で起きた住宅火災。木造2階建て住宅3棟が全焼、隣接する山にも燃え広がり、およそ10時間にわたって燃え続けました。

第一通報者:
「とにかく『こんなに早く火が回るか?』という感じですね」

ヤケドをした男性:
「ばあさんがウチにおったもんで、どうかなって心配で行ったけど。火に煽られた、凄い火だもんで」

 1000平方メートル以上を焼いたこの火災。その出火原因とみられているのが…。

(リポート)
「今回の火事で出火原因となった配線の一部がこちらです。焼損が激しく一部溶けてしまっています」

 住宅の焼け跡に残る黒こげの電気コード…。

通報者:
「これが警察の方で説明されました火元といいますか、コンセントなんですけれども、溶けてクシャクシャですね」

 コンセントに複数のコードが繋がったいわゆる「たこ足配線」。このたこ足配線から火が出たとみられています。

■調査機関の実験映像からもわかる「たこ足配線の危険性」

 製品の事故などを調査する機関NITEが行った実験映像。電源タップをたこ足配線の状態にして電化製品を動かし続けると…電源コードから火花が。たこ足配線で、電気コードが「異常加熱」することで火が出るといいます。

NITE 吉津参事官:
「たこ足配線をするとですね。定格を超えて電気が流れる、いわゆる過電流の状態になる。コンセントの部分の樹脂製の絶縁部が熱くなって、耐熱温度を超えて焦げて焼損して発火に至る」

 たこ足配線をするテーブルタップの多くは、接続できる電力の上限が1500ワットほど。たこ足配線で、消費電力の合計が1500ワットを超えてしまうと「異常加熱」の状態になると言います。

 例えば、電気ストーブとホットプレートをたこ足配線にすると、あわせて2100ワット。2つの電化製品だけで、電源タップの上限を超えてしまいます。

NITE 吉津参事官:
「(冬は)電気カーペットとか電気こたつとか使われるケースって多いと思うんですけれど、電気で発熱する製品というものは消費電力が高いんですね」

■電気配線の接続が原因の火災は5年間で367件…8人の死者も

NITEの調査によりますと、2017年までの5年間で電気配線の接続が原因の火事は全国で367件起きていて、8人が死亡しています。

 たこ足配線による火事。この時期、特に注意が必要です。