岐阜県各務原市にある人気ラーメン店で11月初めに窃盗事件がありました。店に欠かせない『券売機』などが盗まれ経営がピンチに…。そんな苦境に立たされた店を支えたのは常連客のラーメン愛でした。
麺と濃厚なスープが絶妙に絡んだアツアツのラーメン。岐阜県各務原市のラーメン店「横濱家系ラーメン道三家」。店の看板メニューは横浜で修業した店長が作る本場の家系ラーメンです。
中太の麺に濃厚でクリーミーな豚骨スープ。それに脂の乗ったチャーシューにスープがしみ込んだホウレンソウが食欲をそそります。
(リポート)
「太麺と濃厚なスープが絡み合って、これたまらない味ですね」
幹線道路にも面し、多い日には300人ほどが訪れるという人気店です。
しかし、あろうことか11月9日、この店に欠かせない券売機と両替機が大胆に盗まれているのが見つかったのです。
これは事件後の店内の様子を見ると、ガラスが散らばり画面奥にある入口のドアが大きく割られていました。
横濱家系ラーメン道三家 曽我春暉店長:
「朝9時前に出社しまして、ここまで来たらガラスが割れている状態。見つけたときはもうどうしようもない感じで、すごい焦りました」
店によりますと、11月8日夜の閉店後から翌朝に店長が出勤する午前9時までの間に、何者かが入口のドアを破り店内に侵入。入り口近くに置かれていた券売機と両替機が機械ごと盗まれたのです。
中には売上金などが入っていて被害総額は200万円以上に上るといいます。
店長:
「高さがここぐらいまでありまして、自分と同じくらいの背で100キロ近くはあるので、すごい重たいので一人では無理かなという感じです。いやーホントにまさかですね」
店の正面から堂々と侵入するなんとも大胆な犯行…。店は被害届を提出し警察が捜査しています。
一方、被害を受けた店は注文と会計を店員が手作業で行うことになり大忙し。スタッフを1人増やして対応していますが、個人経営で資金繰りが苦しい状況に。
<店長のツイート>
「このお店は個人店なので、あまり大金の資金を持ち合わせてないので、このままだとこれから先のお店の存続の危機です」
店長はツイッターでこうつぶやきました。すると…。
<常連客のツイート>
「あの味がもう楽しめなくなるなんて僕は絶対に嫌です」
「何かできる事といえば、とりあえずお店に行くことかな」
常連客が店を助けようと動き始め、なんと続々と募金が集まってきます。
ラーメン一杯の値段は800円ですが、中には募金箱に1000円札を入れる客の姿も…。
常連客:
「僕としてもすごく悲しいです。店の人の雰囲気が前と同じでよかったと思います。このままでいてほしいなと僕も思います」
常連客の心温まる支援…。被害から立ち直ろうと店も少しずつ前を向き始めました。
店長:
「お見送りの際に入り口で『頑張ってね』とか『ありがとう、また来るね』とか言ってくださるんで、それが励み、今の生きがいというか楽しさの一つとなっています。」
「事件当日は本当になんでこんなことしてるんだよという怒りというのと、今はちょっと落ち着いてお客さんも来ていただいているんで、なんとか再生しようという気持ちでいっぱいです」