社内外問わず、広くコラボーレーションして事業を始めるにはどうすればいいのか…。実際の課題や目標達成までの道のりについて事例を紹介する講演会が名古屋で開かれた。

講演会を主催したのは、岐阜県大垣市に本社を置く大垣共立銀行と、東京が本社で、クリエイティブを活用して企業や自治体などのコンサルティングをするLoftworkだ。

今年7月、名古屋市中区栄にデジタル機器を使ってものづくりができる「FabCafe」を、2社が共同出資してオープンするのがきっかけになった。

講演会では初めにOKB総研・戦略事業部長の長瀬一也さんが地方銀行業界の状況について説明した。

この中で、長瀬さんは進む地銀の統廃合を「当面のカンフル剤ではあるが5年後、10年後に残っていけるのか」と話し、今後について「モノ・コトよりも意味や・意義に価値が置かれる」と指摘。新しい価値やネットワークの拡大に強みを持つLoftworkと連携することで「新しいビジネスモデルで地銀として何ができるのかを考えていきたい」と話した。

Loftworkの取締役COO・矢橋友宏さんは、パナソニックから請け負った事業「100BANCHI(ヒャクバンチ)」の事例を紹介。

100BANCHIはパナソニックの100周年の事業で、2017年に渋谷に作られた実験施設。35歳以下の若者がアイデアをプレゼンし、採用されると施設に3か月間無料で入居できることになっていて、すでに約150の事業が生まれたという。

矢橋さんは名古屋のFabCafeも「お茶を飲むだけでなく、新しい人が出会ったり、新しいことを考える場所にしたい」と話した。

大阪ガスの新規事業を創出する事業では、リサーチからプログラムの運営、アイデアコンテスト実施までのプロセスを説明するなかで、外部の講師を呼んで世界の潮流を汲んだ提案を促した。提案は25人が行い、採用されたアイデアを事業化に向けて進めているという。

また、衝撃や振動を吸収する素材「αゲル」で知られるタイカとの事業では、商談で度々顧客が口にした「触ると気持ちいい」という感覚を共有できるよう、柔らかさの異なる12の触感のサンプルを作った。

それぞれ柔らかさにあわせて、蛇の皮、消しゴム、赤ちゃんの肌などと似た触感で表現し、わかりやすくパッケージ化することで、商談がスムーズになったという。

主催したLoftworkの担当者は、新しい事業を始めるにあたっては「とにかく小さく初めてみることで検証することができる。データやトレンドだけではなく、一緒につくることを大切にしたい」と話した。