岐阜県のセラミックス研究所やメーカーが『見えないQRコード』を開発。多くの可能性が秘められています。

 家のイラストや緑の木々が描かれたマグカップ。QRコードが印刷されているというものの、一見しても見当たりません。

(リポート)
「こちらの美濃焼のマグカップ、底を見てみますと一見社名が書いてあるだけで、他には何も書いていないようですが、ブラックライトを当ててみますと、QRコードが浮かび上がる仕組みになっています」

 実はQRコードが隠されていたのはマグカップの底、ブラックライトを当てると浮かび上がる仕組みです。 実際にスマートフォンで読みとってみると、メーカーのホームページが現れました。

しかし一体何のためにこんなモノを作ったのでしょうか…。

岐阜県セラミックス研究所 安達研究員:
「地元の美濃焼の企業さんが海外に進出するといった中で、どうしても粗悪な偽物が出てくることに不安を覚えていまして、見えないQRコードという形で自分のブランドを守っていただけるといいかなと思って開発しました」

 こう話すのは、陶磁器の技術開発などを行う岐阜県セラミックス研究所の安達研究員。

 海外の日本食ブームを背景に、需要が高まっている日本製の陶磁器。一方で偽物も横行していて、岐阜県内のメーカーからの相談をきっかけに研究が始まりました。

安達研究員:
「形やデザインを変えるとなると、同じように追従してまねすることは可能なので」


 形やデザインで特徴を出してもマネされたらダメ。そこでたどり着いたのが、特殊な顔料を用いた「見えないQRコード」。

 印刷したQRコードを転写紙に合わせてマグカップの底に貼りつけ、800度の窯で焼き上げると完成。

陶磁器のデザインを損ねないようにと、印刷加工会社や美濃焼のメーカーと試行錯誤を重ねて誕生した特殊な技術です。

印刷技術の開発を担当した高根シルク 大沢社長:
「非常に細かいところまできちっと印刷で出さなきゃいけないので、いかにシャープにつぶれないように細かいところを出すかということと、もう一つスマートフォンで読み込む、ここは難しかったです」

 見えないQRコードを読み取れば、メーカーのホームページや製品情報を見ることができ「ホンモノ」かどうか確認することができます。

 2月5日、初めて一般に公開された見えないQRコード付きマグカップ。会場には研究に携わった安達さんらの姿もありました。

安達さん:
「お客さまがどう受けていただけるか、どういう反応があるかというのは今後楽しみでもあるし、改善点が見つかるならそこかなと」


 ブースでは、一風変わったマグカップに思わず足を止めて写真を撮る人の姿も。

訪れた業者:
「今日ほんとに初めて拝見したので、可能性はすごくあるんじゃないかなと」

別の業者:
「商品情報をわざわざ聞かなくても、手軽(に見られる)なのはいいかなと。説明書とか見なくても、これですぐ分かるのは良いなと思います」

 初めて見る技術に、反応は上々です。

高根シルク大沢社長:
「何をこの中(QRコード)に入れるかは、各社いろいろな特徴があると思うので、ぜひいろんな知恵を入れて、この技術を使っていただきたいなと思っています」

 見えないQRコード付きのマグカップ。今年4月の発売を目指しています。