政府は25日、新型コロナウイルス対策の基本方針を示しました。感染の拡大を抑えながら、重症患者に対する医療体制の確立を急ぐ考えで、これまでより一歩進んだ対策を講じることになります。

 感染の拡大を意識せざるを得ない状態の中で、経済に与える影響も懸念されています。

 新型コロナウイルスが与える景気への影響を懸念して、一時は1000円以上下落した東京株式市場。結局25日の終値は、前日に比べて781円33銭安い2万2605円41銭で取引を終えました。

 世界経済の減速を織り込み始めた株式市場…。

不動産経営60代男性:
「株はね、不動産と影響するから。コロナがどう影響するか。春まで長引くと、これ相当応えると思うよ。どっかで、コトッと歯車が外れたら、ダダダダッて下がっていくだろうから。これがそうじゃないかと」

金融業50代男性:
「金融です。影響がありますので非常に困っています。予想が非常に懸念されていますけど、早く収束してほしいなと思いますね」


 経済活動の大きな足かせになる新型コロナウイルス。政府は25日、感染症対策の基本方針をまとめ、これまでの封じ込めから、感染が拡大し重症患者が出た場合の医療体制の構築を急ぐ考えを示しました。さらに…。

加藤厚労相:
「手洗い・せき・エチケットなどを徹底し、風邪の症状があれば外出を控えていただきたいと思います。今後は、患者の集団が確認された地域などでは、関係する施設やイベントなどの自粛を、検討していただくこともお願いをしてまいります」


 感染の拡大防止を目的に、患者数が継続的に増えている地域に対しては外出の自粛を求めることにしています。

 外出の機会が減ることで直接の影響を受けることになるのが外食業界です。

 名古屋市熱田区の老舗鰻料理店「あつた蓬莱軒」。

創業は明治6年、名古屋名物「ひつまぶし」は地元で愛される味です。

(リポート)
「こちらは大人数の会食などが行われる部屋ですが、コロナウイルスの影響によりキャンセルが相次いでいるということです」

 あつた蓬莱軒では愛知県内での感染が広がりはじめた、2月14日ごろから客足が減り始め、これまでに2割ほどの予約が新型コロナウイルスを理由にキャンセルとなりました。

蓬莱軒本店・御子柴店長:
「最大で50名くらいのキャンセルが。仕入れ・仕込みなどもあるもんですから、食材がちょっとダメになってしまうということもあります。(キャンセルの数は)多い時には(1日)4件くらい、20名くらいですかね」

 外国人観光客の減少に加え、地元の人たちの足も遠のけば、店は大きなダメージを受けることになります。

御子柴店長:
「15~20%くらい売り上げが減ってしまっている。毎年ゴールデンウィークが一番ピークになりますので、その前には何とかなっていただければありがたいなと思っております」

 店では普段の消毒に加え、玄関にお客用のアルコール除菌スプレーを置くなどして対応していますが、キャンセルを受け入れざるを得ない状態に、不安を抱えています。

 客の減少は百貨店でも…名古屋市中区の名古屋三越栄店は、新型コロナウイルスの影響とは言えないとしつつも、2月は前年の同時期に比べて客数が5%前後減少していると見ています。

 百貨店と同様に外国人観光客減少の影響は、ホテルも直撃。名古屋マリオットアソシアホテルを運営するJR東海ホテルズは、宿泊予約のキャンセルが相次ぎ、3月末までで1億円の損害を見込んでいます。

 また、名鉄グランドホテルでも2月半ばごろから急激に宿泊予約が減少。3月、4月の予約が入らない状態になり、売上は2割ほど落ち込むと見込んでいます。

 ホテルの売り上げの多くを締める宴会も自粛の動きが目立ち、企業のパーティーや同窓会などがキャンセルに。売り上げへの影響は避けられず2割から3割ほどのダウンを見込んでいます。

 業績に暗い影を落とす新型コロナウイルスの影響…。

 業績悪化でついに廃業に追い込まれた旅館も出ました。愛知県蒲郡市の西浦温泉にある旅館「冨士見荘」。

入り口付近には破産手続きを始めたことを知らせる紙が貼られています。

 東京商工リサーチによると「冨士見荘」は1955年創業の老舗旅館。ここ数年は主に中国人観光客向けの営業を続けていました。

しかし、型コロナウイルスの影響でキャンセルが相次ぎ、2月21日までに事業を停止、破産に向けた手続きに入ったということです。

 そして影響は映画業界にも…。

名古屋市中村区のミッドランドスクエアシネマでは、既に試写会の中止が相次ぎ、担当者は今後、舞台挨拶などを伴ったイベント上映も開催されるかどうか不透明な状況だと話しています。