新型コロナウイルスの感染拡大を受けて始まった突然の一斉休校から1週間が経ちました。児童や生徒の家での過ごし方が問われる中、東海地方のレジャー施設や教育業界では、インターネットを使った無料の授業を開くなど子供たちのための新たな取り組みが始まっています。
ペンギンやセイウチなど、およそ200種類の海の生き物と出会える三重県の伊勢シーパラダイス…。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けてこの水族館も、3月2日から休館。そんな中、臨時休校で家で過ごす子供たちのために、新たな取り組みが始まりました。インターネットを使ったオンライン授業です。
飼育員:
「はい、みなさんこんにちは~!伊勢シーパライブを始めていきたいと思います」
海の生き物についての授業をYouTubeでライブ配信することです。この日のテーマはカワウソ。体の特徴や生態などを飼育員が丁寧に解説します。
さらに…。
飼育員:
「『カワウソを育てるときに大変な事は何?』ペットにできるんですかといった質問にもつながると思うんですが…、動きもすばしっこいのでなかなかおうちで飼うというのはオススメできません」
子供たちからの質問をインターネットを通じて募集。寄せられた疑問に、丁寧に答えてくれるという力の入れようです。
伊勢シーパラダイス 中島さん:
「子供たちは今授業受けられないので、おもしろおかしく僕らの雰囲気を伝えつつも、動物のことも伝えられてみなさんも楽しい、みたいなのができたらいいなと思っています」
インターネットを使った特別授業は伊勢シーパラダイスの臨時休館が終わる3月15日まで毎日行われます。
さらに、岐阜県多治見市の私立中学校でも…。
(リポート)
「こちらの教室、休校中で生徒はいなんですが、先生が授業を行っているんです」
ガランとした教室に、先生が一人…。
教員:
「もう一回画面に表示するので、もう一回見てみてもらっていいですか?接弦定理っていうことね。ここの角とここの角が一緒になる定理なのね」
自宅の生徒と学校の教室をインターネットで結んで授業が行われていました。
この学校では、情報通信技術の教育に力を入れていて、臨時休校が始まった3月3日から全校生徒を対象に午前中の3時間、インターネットでの授業をスタートさせました。
生徒は入学の際に購入するiPadを使って授業に参加します。画面上では、授業に参加しているクラスメイトと顔を合わせることもできます。
中3男子(画面):
「本当は実際に会ってみたいんですけど、こういう形でも仲間の姿が見られるのはうれしいです」
中3女子(画面):
「気軽に質問ができるので、全然いいと思います」
多治見西高校附属中学校 小木曽教諭:
「声が聴ける、顔が見えるというのは家でポツンといるのとは全然意味が違うんだなということは感じますね。子供たちは思ったよりも学びたいって思っているんだなあと改めて感じました」
一方、小・中・高校生向けの教材を会員以外の希望者へも無料で配布することを決めたのが、通信教育大手のベネッセです。
中でも、30万冊もの申し込みがあった復習ドリルは、会員限定の電子書籍と一緒にホームページ上に無料で公開。
実はベネッセでは、間もなく発生から9年を迎える東日本大震災の時にも教材を無料で提供していました。
ベネッセコーポレーション 清水本部長:
「お届けしているものを、どれだけ早く有事の際に多くの方に使っていただける状態にするかっていうのは企業全体、弊社全体で取り組んでいることではあるんですね。お子様とかおうちの方に一番寄り添える存在でありたいとか、一番困りごとがわかっている存在でありたいです」
さらに、インターネットを使った授業はこんなところでも…。
講師:
「さぁいよいよみんなサナル2週目の映像授業スタートね!」
こちらの学習塾では、新型コロナウイルスの感染を防ぐため直接対面での授業を取りやめ、タブレットを使い動画を見ながらできる授業に切り替えました。
対象となる人数は小中学生あわせて4万5000人ほど。オンライン授業で使う教材の準備も一苦労、講師たちは休日返上です。
講師:
「みんなで声掛け合いながら助け合いながら。大変ですけど生徒のためだと思ってやってます」
手探りで始まったオンライン授業ですが、保護者からは「意外にも子供が楽しく勉強していた」「素早い対応をありがとう」といった言葉が寄せられているそうです。
佐鳴予備校 教育推進部 山本さん:
「今回の出来事自体があまりにも突然のことで、私たちも現場でどんなことができるだろうって考えました。こういう時期だからこそ、一層自分たちも心、気持ちを掻き立ててやっているという状況だと思います」
インターネットを使った「教育を止めない」取り組み、その輪は急速に広がっています。