緊急事態宣言による外出の自粛や、様々な業種への休業要請は、私たちの日常生活にも大きな影響を与えています。様々な場所から賑わいが消えた今、“街が仕事場”のタクシー業界にも大きな波紋が広がっています。
午後3時の名古屋・栄。街を行くタクシーの多くは空車の状態です。緊急事態宣言が全国に出され、多くの人が外出を我慢する中、タクシー業界の現状は…。
タクシー運転手:
「夜の飲食の方々を狙っていくんですけど、早い時間は多少人はいますけど、夜11時12時になってくると全く人がいなくなる。下手するとホントに(平常時の)5分の1くらいです」
午後7時ごろ、名古屋市瑞穂区にある名鉄タクシーの車両センター。
多くの車両であふれていました。
タクシー会社の担当者:
「この時間(夜)から出庫する車がメインでございますので、出庫できなかった車でございます」
360台のタクシーのうち、半分が稼働せず止まったまま。
同担当者:
「7都府県に緊急事態宣言が出されてから、ガクッと落ちてまいりましたね。前年比になりますけれど(売り上げは)約半分くらいには落ち込みになっておりますね。人がいない、お店も開いていないということで、リーマンショック以上の危機的な状況だと思っております」
この会社では「稼働しても赤字が出るだけ」と、4月15日から夜間の台数を通常の半分に減らし、東海3県の主要タクシー会社も稼働台数を大幅に減らしたり、ドライバーの勤務時間を短縮したりするなどしてこの状況に対応。
国土交通省はこの状態を改善しようと、5月13日まで特例でタクシーで食品の宅配を認める措置を取りました。しかし、名鉄タクシーではドライバーの勤務調整などが必要で、そこまで手が回らないのが現状です。
タクシー会社の担当者:
「私どもはですね、出来る限り雇用は守っていきたいということで、今(運転手の)皆さまにはお休みいただいているんですけれども、コロナが収束して、また街が盛り上がってきましたら、また皆さんに通常通り働いていただけるようにということで」
いつもなら仕事終わりの人たちで街が賑わう午後8時ごろ…。
(リポート)
「こちら、普段はタクシーが多く停まっている場所なんですけれども、赤い空車の文字が点いたタクシーが数台停まっています」
終電が近づくと、夜の街で羽を伸ばしたお客さんを乗せようとタクシーが行列を作るスポットですが…
まだ時間が早いとはいえ、少し寂しい状態です。
タクシー運転手:
「いつもならもっとタクシーがいるんですけれども、タクシーも(稼働台数は)半減していますけどそれでも無理です。2時に来て今日は3本だけです」
この日は6時間半ほど走って、お客さんはわずか3組だけ。これまでの売り上げは4000円ほどです
タクシー運転手:
「もうちょっと対処しないと、みんな死んでいきますよ。ホントに助けてほしいくらいです」
新型コロナで失われた日常。タクシー運転手には、行き場のない思いだけが募ります。