新型コロナウイルスの感染拡大で自粛生活が広がった中、全国のスーパーで去年より多く売れた「缶詰」。
今年3月の売上は去年に比べ、肉系の缶詰が62%、マグロやカツオの缶詰も24%増えました。
家庭で食事する機会が増え、常温で長く保存できる缶詰の需要も増えたのではないかとされています。
今、缶詰は実に様々な商品が登場しています。
■150種類の缶詰を揃える東急ハンズの人気ナンバーワンは
缶詰の品ぞろえが豊富な名駅の「東急ハンズ名古屋店」へ。
6階のキッチンコーナーには、およそ150種類が揃います。
「巣ごもり需要」でも人気の高かった缶詰には、日常の惣菜として楽しめるものが増えていました。
例えば、蓋を開けたらそのまま食べられるラーメン。
たまごかけごはん専用のコンビーフ。
おでんや肉じゃがなどの和食まで、ちょっとこれまでの想像を越えたものが並びます。
その中でも、最も売れているのが、この「出汁巻き卵」です。
東急ハンズの担当者:
「しっかりと出汁が取れている卵ですので、温めて食べると美味しいです」
大阪の缶詰メーカーと、京都の老舗食品メーカーがコラボして、9年前から販売している「出汁巻き卵」の缶詰、1缶に4切れ入って565円。
「食卓に手軽な酒のつまみを提供したい」という発想で生まれました。
国産の卵を焼き、一つ一つ手詰めするという手間のかけようです。
最もこだわったのは、ふっくらとした食感と美しく形を残すこと。かつおと昆布を使った京風だしで、見た目だけでなく味も本格的です。
東急ハンズの担当者:
「温めて醤油をたらして食べたらおいしくいただけました」
■味のイメージが沸かない「お好み焼き」も人気
ユニークな売れ筋缶詰は他にもあります。
見た目はあまり食欲をそそられませんが、タレをかけて、鰹節を振って食べる「お好み焼きの缶詰」。
お好み焼きの缶詰はイメージがつかないので、試しに買う人が多いということですが、その、もの珍しさもあってか、発売3か月で1万缶も売れたそうです。
1缶に小ぶりのものが2枚入って680円。「常識に縛られない話題性のある商品を作りたい」と開発しました。温めると、よりおいしくいただけます。
東急ハンズの食品担当者によると、缶詰は東日本大震災以降から売上が伸びていて、昔の「保存食」ではなく、こうしたグルメ缶詰が増えてきたということです。
■ハンズ名古屋店の人気ベスト10…7位は「スイーツ」
東急ハンズ名古屋店で販売されている缶詰売場の人気ランキングはこちら。
1位 だし巻き缶詰
2位 サバカレー
3位 サヴァ缶
4位 お好み焼き缶詰
5位 たこ焼き缶詰
6位 レモ缶 ひろしま牡蠣
7位 どこでもスイーツ缶
8位 鳥皮みそ煮
9位 天の橋立 オイルサーディン
7位「どこでもスイーツ缶」はその名の通り、スイーツの缶詰で、中身はチーズケーキ・抹茶チーズ・ガトーショコラがあります。1缶540円です。
愛知県豊川市に本社がある「トーアス」が開発した商品です。
東日本大震災の被災者から「避難生活で、実は甘いものが食べたかった。でも、そんなことを口に出せる空気ではなかった」という声があり、疲れているときこそ甘いものでホッとした気持ちになってほしいと開発したそうです。
■試食した街の人は…
ところで缶詰グルメの味はどれほどなのか、缶詰であることを伏せて「出汁巻き卵」と「お好み焼き」を街の人に試食してもらって、感想を聞きました。
出汁巻きを食べた親子:
母親:「甘くない」
娘:「ちょうどいい感じですごいおいしいです」
母親:「どちらのですか?え~缶詰!?この辺のいいお店の卵かなと思ったんですけど」
別の男性にも食べてもらい感想を聞きました。
男性:
「おいしかった。アリだと思います」
続いて、お好み焼きを別の親子に食べてもらうと…。
お好み焼きを食べた女性:
女性:「普通においしいです、野菜のない柔らかいお好み焼き。缶詰なんですか?アリかもしれない。まさかお好み焼きの缶詰とは思いもよらなかった」
(Qどんな時にあったらいいと思いますか?)
「キャンプとか災害の時とか。乾パンとか同じようなものになりがちなので」
「災害の時にも、いろんな種類が欲しい」との声も聞かれましたが、一昨年、非常時用の保存食として発売されたのが、「缶飯 (かんめし)牛丼」。
開発したのは牛丼チェーンの「吉野屋」です。
1缶756円と少し高めですが、「非常時に牛丼を食べたい」という声が多く、一昨年の販売開始当初は、売り切れるほどだったといいます。
常温で、空けてすぐに食べられる“即食”をコンセプトに開発され、約1年をかけて商品化。白米だと食感が悪いため、高機能玄米が使われています。
缶飯牛丼を食べた女性:
「この食感が好きな人は好きかも。牛とライスじゃなくて“牛ライス”みたいな。ひもじい時とか牛丼が食べたい時にいい」
いざという時、あの味を口にできると、気持ちを落ち着かせることができるのかもしれません。
■インパクト“大”の「焼き鳥」缶詰…どう使う
そしてもうひとつ、気になった大きな缶詰。缶はおなじみの「やきとり」の文字。
缶詰の定番「ホテイのやきとり」です。大きさが通常の20倍、中身は1.7キロ。実は、業務用の缶詰です。
あるイベントに出品したところ話題を呼び、7年前から、一般にも販売を開始したそうです。
パッケージには、「炭火焼」の文字があり、工場では炭火を専門に扱う職人が、絶妙の火加減で焼いていました。
今年で販売50年を迎えましたが、こうしたこだわりがロングセラーの礎となっているようです。
担当者に、このやきとり缶のオススメの使い方を聞くと…。
ホテイの商品企画課担当者:
「パーティですとかキャンプ、そういったところで持って行っていただくとインパクトがあって、受けがいいと思います」
保存食としてはもちろん、食卓を彩る惣菜として進化する缶詰。どんなものがあるのか知っておくと、一層、使い勝手がよくなるかもしれません。