名古屋市内で家庭から出た4月のゴミの量は去年が約33400トンだったのに対し、今年は約36000トン。外出自粛の影響で去年より多くなっています。

ゴミ収集は、新型コロナウイルスへの感染リスクもある中で行われていましたが、その業務を担う人たちに向けて「いつも本当にありがとうございます」といったメッセージが多く寄せられていました。

■外出自粛で“家庭ゴミ”の量が増加

 名古屋市南区の南環境事業所は、区内の家庭ゴミの収集を担います。

午前8時半。収集車は一斉に各担当地区へ出発。市内全体で300台が稼働し、1日あたり約900人が作業にあたります。

取材を受けてくれたのは26年のベテラン作業員、和田さん。

車1台につき運転手1名、収集作業の2人の3人体制です。

受け口にゴミを入れると、圧縮されて押し込まれていきます。実はここ2か月、ゴミの量が増えました。

名古屋市内の家庭ゴミの量は、1世帯あたりの平均で1か月に約30キロ。それが外出自粛以降、約32キロまで増えたといいます。

■感染するかもしれない危機感…注意を払いながら職務を全う

 その分、収集するのに手間がかかり体力も奪われますが、それ以上に気がかりなのが、新型コロナウイルスへの感染リスクです。

和田さん:
「感染するかもしれないという危機感というか恐怖はありますね。こういうティッシュとかマスクとか、袋が破れた時に外へ出ちゃう時があるんですね。そうすると、自分の手で拾ったり、ほうきで掃いたりしています」


テッシュペーパーやマスクに、ウイルスが付着している可能性は決してゼロとは言いきれません。収集車に詰め込む際、時には袋が破れ、ゴミが散乱してしまうことも。

そうした時は、特に危険を感じます。

和田さん:
「もし感染して奥さんとか母親とかにうつしたら怖いですね。市民の方々の生活が回っていかないといけないので、大変です」

■「いつもありがとう」市民から感謝のメッセージ 手作りマスクを送る人も

 そうした中、ゴミの収集を担う人たちにあるものが寄せられるようになりました。

和田さん:
「こういう、“頑張ってください”とか、“感謝しています”っていうお手紙をいっぱいもらいます」

『新型コロナ感染リスクのあるなか、いつもありがとうございます』と記された市民からのメッセージ。こうしたお礼の言葉が続々と寄せられていました。

和田さん:
「分かってくれている人は、わかってくれているんだなと。本当にうれしいです。がんばろうって思います」

寄せられた手紙は、すべての作業員が見られるようにと、事業所に貼り出されていました。5月中旬までにこの事業所に寄せられたメッセージは60通余り。名古屋市全体では300通を超えるといいます。

【ご苦労様です。コロナに負けず頑張ってください 5/4市民より】
【いつも本当にありがとうございます。暑くなりましたので体に気をつけて下さい。感謝です】
【危険ととなり合わせでゴミ収集してくださることを本当に感謝しています】

なかには手紙とともに、手作りのマスクが寄せられることも。

和田さんが以前、直接受け取った手紙には…。

和田さん:
「こちらですね。ゴミ収集車の絵が書いてあって、『朝いちありがとう』だと思います。こっちは作業員の絵だと思います。普通に仕事をしているだけだと思っているんですけど、それに対して感謝していますとか、ありがとうというのは、「いやこちらこそ」。こっちがありがとうみたいな感じですね。感染せずに何とか乗り切れないかなと思います」


感染リスクがあっても止めることのできないゴミの収集。それを担う人たちを市民からの手紙が勇気づけていました。