17日、名古屋市中区栄の郵便局に強盗に入り、その後、男が逮捕された事件では、逮捕までに警察官が2発拳銃を発砲するなど、白昼の繁華街で起きた強盗事件に、現場周辺は一時騒然としました。
事件発生から逮捕まではおよそ20分。取材で男の逃走の一部始終が分かってきました。
名古屋市中区栄の繁華街に響き渡った音。警察官の発砲による銃声です。
発砲の現場を見た男性:
「(発砲したのが)真横ですから、僕の。本当にビックリ」
警察官に囲まれながら歩く、ナイフを手にした男。そしてこの直後、路上で取り押さえられました。
銃刀法違反の疑いで現行犯で逮捕されたのは、住所不定・無職の吉原悠佑容疑者(24)。
この20分前、名古屋市中区栄の郵便局で強盗事件を起こしていました。
繁華街で白昼に起きた危険な事件。周辺の取材を進めると、防犯カメラや目撃者の証言から、逃走の一部始終が見えてきました。
強盗事件が起きたのは、17日午後3時半ごろ。中区栄3丁目の「名古屋南大津町郵便局」に、吉原容疑者がナイフを持って押し入ると、居合わせた56歳の女性客を人質に取り、金を要求しました。
<吉原容疑者>
「200万出せ」
差し出された現金221万円を奪うと、そのまま人質の女性を引き連れて逃走を始めました。
現場となった郵便局のすぐ北の交差点で撮影された映像には、赤の服を着た女性を引きずるようにして逃げる吉原容疑者の姿が映っていました。
目撃者の男性:
「黒い服を着て黒い帽子をかぶった男の人が、女の人を刃物っぽいものを持って連れ回しているのが見えた。向こう側に行ったところまで見えたんですけど、見えなくなったところで銃声、発砲音が聞こえましたね。初めて聞く音ですね」
警察官が足元に向け1発、拳銃を発砲しました。
女性を解放しましたが、その後も逃走を続けた吉原容疑者。現場に居合わせた人によりますと、1度近くのパルコに入ると大津通側へと逃げたといいます。
そして、通りがかったタクシーに乗車。
<タクシー会社の関係者>
「運転手が『どこにいきますか?』って聞いたら、『錦へ』と普通に答えたが、挙動不審だったと聞いています」
吉原容疑者を乗せたタクシー会社によりますと、ナイフを見せず一般の客を装って乗り込んできたといいます。
その後、タクシーを南へ直進させると再び北上しますが、久屋大通で警戒していた警察官が乗車中の吉原容疑者を発見しました。
<タクシー会社の関係者>
「警官が来たら『運転手さん行け!』と言い出し、最終的には『早く行けって言ってんだろ!』とわめいていたようです」
吉原容疑者は運賃およそ1500円を支払うことなく、タクシーを降りて逃走。
その直後には、吉原容疑者を囲む警察官が、拳銃を構えている様子が画像に写っていました。
吉原容疑者はそのまま逃走を続け、中区栄4丁目の瓦通りを通り過ぎた時には、少なくとも5人以上の警察官に囲まれていました。
右手にはナイフを持ったままです。
逃走現場を見た女性:
「かけっこするみたいに、みんなでバーッと向こうへ走って行って。そんな事件だとは思わず」
そしてこの後、中区の武平通りを南へと逃走していた時、吉原容疑者がナイフを振り回したため、警察官が再び1発発砲したものの、弾は当たりませんでした。
発砲の現場を見た男性:
「初めて聞いた音です。においも花火みたいな匂い」
およそ20分の逃走劇の末、吉原容疑者は郵便局からおよそ200メートル離れた路上で、銃刀法違反の現行犯で逮捕。
吉原容疑者が確保された現場近くの住人:
「パトカーに乗ってからも暴れていて、本当に押し込んだ感じで。やっとパトカーに乗ってちょっとしたら、断念したのか首下げたんで」
調べに対し、「ギャンブル絡みで、金が欲しくて強盗した」と供述している吉原容疑者。一時、人質に取られた女性は転んで軽いケガをしていて、警察は強盗致傷の疑いでも調べる方針です。
※画像と動画の一部は視聴者撮影