街を歩いていて見かける“ちょっと迷惑だな”…という行為をする人たち。そんな人たちを、架空の生き物に見立てた本『カサうしろに振るやつ絶滅しろ! 絶滅してほしい!?迷惑生物図鑑』が、8月に出版されました。
カサを後ろに向けて振る人を「カサウシロフルス」としたり、順番を抜かす人を「ナラバンゾウ」としたりするなど、迷惑行為をする人たちをオリジナルの生き物に例え、ユニークなイラストとともに図鑑にしています。
「あなたはどんな迷惑生物と遭遇しましたか?」と街で聞いてみました。
■歩きたばこをする「猿人」とポイ捨てする「恐竜」
女性:
「歩きタバコとポイ捨ては見たことあります。歩きタバコは昔に比べて減ったかなと思います。なので、たまにいると目立つ気がします」
まず出てきた迷惑生物は「アルキキツ猿人」。歩きタバコをする人のことです。火のついたタバコが子供の顔にでも当たったら…と心配する人も多くいました。
そして「アルキキツ猿人」がいる場所に、よく出没するのが「ポイステゴサウルス」。
ゴミをゴミ箱に捨てることができない生物で、タバコのポイ捨ての他にも空き缶やペットボトル、最近では使い捨てのマスクのポイ捨ても増えています。
女性:
「捨ててあるものを見ると気分も悪いし、嫌だなと思います。なるべく私自身が見本になるようにしなきゃ、と思っています」
■邪魔です…歩道で群れをなす「トオレヌー」と電車でみかける「リュックドン」
続いての迷惑生物は、歩道で遭遇する「トオレヌ―」。大きな群れを作り、歩道を横一列に広がって大移動する習性がある迷惑生物です。
女性:
「私は友だちと縦で行っていたのに、相手が3人くらいで(横一列で)来て、避けてくれなくて衝突して、転んで朝から血だらけになったことがあります。本当に嫌いです、そういう人」
続いては、電車で見かける迷惑生物です。一つ目は「リュックトドン」。大きなリュックで周りの人を押し付けてもお構いなし、前に抱えるとか、網棚に置くなどしてほしいですね。
女性:
「朝の通勤時間帯だと、リュックサックを背負っている学生さんが多いですかね。基本的に同じ方ですけど、たまに周りの方に注意されて、下ろしたりしているけど…本人は多分気付いていないと思います」
そして、車両のドア付近にいるのが頑なに動かない生物が「デンシャノハシビロコウ」。
少しは周りに気を遣って欲しいところです。
■会社,店,学校にも現れる「シカ」,「リス」,「クジラ」
続いては、会社やお店に出没する生物。人前で大声で怒鳴る「シカルシカ」。周りの人も気まずい思いをするのが特徴です。
女性:
「自分は周りの人の立場ですけど、後輩の男の子と上司がやっているのを、周りは怖いから言えずに…かわいそうだなって」
また、小学3年生の男の子の学校には2種類の迷惑生物が。
男の子:
「謝らないやつと、人の話を聞き流すやつがいます。話していたら急に自分のこと話し出して、一切聞いてない。ちゃんと聞けよって」
まず、頑なに謝らない「アヤマロカリス」。自分の非を絶対に認めません。
女性:
「私それです。謝らない。『何でごめんなさいって言えないの?』と言われても、理解できてないから、ごめんなさいできないです」
そして、もう一つが人の話を聞き流す「キキナガスクジラ」です。
女性:
「よくいる。(初めから)こういう人だと分かっていたら、メモとかで書いて示しちゃう。『言った』『聞いてない』論争は無駄だから」
■生息多数の危ない生物「カサウシロフルス」
皆さん迷惑生物にイライラが募っていますが、中でも最も多く見かけるのが、本のタイトルにもある「カサウシロフルス」。駅の階段などで傘を後ろに振る危ない生物です。
女性:
「これしょっちゅう会います。駅のホームに上っていく階段の前の人が、私に刺さる直前まで、とかよくあります」
別の女性:
「梅雨の時は、ほぼ毎日。特に男性は横持ちしている人が多くて、手を振っている人はそういう状態になっている人が多い。無意識だろうなって」
さらに、傘にまつわるもう1つの迷惑生物が、ビニール傘を何食わぬ顔で盗んでいく「アンブレラプトル」。
本の著者も「それ、ただの泥棒だよ!」と書いていますが、その通りです。
■迷惑生物はまだまだ他にも…でももしかしたら自分も?
迷惑生物は、まだまだ他にもいます。自分の価値観を押し付ける「カチカンガルー」。自分と価値観の違う人に対し「人生の半分損してるよ」など、言葉のパンチを繰り出すカンガルーです。
最後は「アゲアシトリケラトプス」。頭部のツノを用い、相手の揚げ足をとる生物で、ちょっとした言い間違いに、すばやく反応することが生きがいです。
たくさんの迷惑生物の目撃情報がありましたが、街ではこんな声も聞かれました。
女性:
「自分も何かしら気付かないうちにやっているかもしれない」
別の女性:
「こういう人を作らないために(職場の保育園で)今、指導しています。傘の持ち方はこうだよって」
また別の女性:
「時代が変わりましたね…。自分さえ良ければという考えがなければ。やっぱり譲り合いとか思いやりとか、個々に持たれたらいいと思いますけど」
愛知県出身で著者の氏田雄介さんは「常識や価値観は時代や状況によって変わるもの。この本に書いてあることも考え方の1つだと思っています」としていて、この本が何かを考えるきっかけになればと話しています。
この本は、こんな迷惑行為をする人たち“いるいる”と思うだけでなく、自分の行動も振り返る良いきっかけにもなるかもしれません。