東京オリンピック新種目のスケートボードで、岐阜市を拠点に活動している2人の選手がいます。アジアナンバー1の笹岡建介選手と女子・世界トップの中学2年生、岡本碧優選手です。
岡本選手は、小学6年生の時に、スケートボード界の第1人者の笹岡選手の家に下宿し、世界ランク1位まで上り詰めました。
東京オリンピックを1年後に控え、2人は、スケボー漬けの毎日を送っていました。
■最高到達地点6メートル 日本で1人しかできない大技
愛知県あま市の練習場。5メートルもの高さから滑り降り、空中へジャンプ。その迫力が魅力のオリンピックの新種目スケートボード。
ひときわ高いジャンプを見せるプロボーダー笹岡建介選手(21)。2018年日本選手権で初代チャンピオンに輝くなど日本のスケートボード界を引っ張る第一人者です。
笹岡選手の代名詞は、日本でたった1人しかできない大技「バックサイドヒールグラブノーズボーン」。板を回して、その板をキャッチして前足を伸ばすという技です。
これを可能にしているのは、日本トップレベルのエアの高さ。その凄さを物語っているのが、天井に貼り付けられた何枚ものステッカーです。
すべて笹岡選手が貼ったもの。最高到達点は6mを超えます。
■小6で親元離れて憧れの選手の家で「下宿」…スケボー漬けの日々で世界1位となった女子中学生
そんな笹岡選手に憧れの眼差しを送る女の子が、愛知県高浜市出身の14歳。中学生にして、世界ランキング1位に輝く岡本碧優選手(14)です。
スケートボードに専念するため、小学6年生の時に親元を離れ、岐阜市にある笹岡家に下宿することを自ら決めました。
去年行われたオリンピック予選対象大会は4戦全勝。そんな彼女のすごさは『540(ファイブフォーティー)』。空中で体を1回転半させる技、大会で成功させた女子選手は岡本選手だけです。
岡本選手:
「『世界で活躍したいんだったら、女子選手であまりやっていない『540』を乗らないと』と指導をしてもらって」
学校が終わると、すぐに笹岡選手と練習場へ。スケボー漬けの日々を送る岡本選手。
Q.スケボーをやめたいと思ったことは?
岡本選手:
「あります。怖い技とか痛い技はしたくないって思って。でも笹岡家のみんなが、勇気を出すためにいろいろ言ってくれて」
今の自分の活躍があるのは笹岡家のおかげ。岡本選手の胸には常にその思いがあります。
笹岡選手の父・賢治さん:
「本人も自覚しているように、気持ちが弱い、逃げるって部分があるので。『笹岡家に下宿してよかったな』って本人が思ってくれたらそれで満足ですけど」
■師弟コンビ「オリンピックまでに新たな技を」…追い抜かれるプレッシャーと闘い続ける2人
去年のアジア選手権ではダブル優勝でその存在感を見せつけ、東京オリンピックへ弾みをつけた2人。しかし、新型コロナの影響で延期が決定。
先が見えない中でも、ジャンプ力とスピードのさらなる向上を目指し、厳しいトレーニングで自らを追い込みます。
笹岡選手:
「1年延びたのか…ってあったんですけど、新しい技にも挑戦できたりするので、良いようにに繋がってくれるとありがたいです」
まずは、オリンピック出場権の獲得。そして誰も経験したことのない舞台で滑ってみたいと意気込みます。
一方、現在世界ランキング1位の岡本選手は…。
岡本選手:
「『みんな練習をたくさんしてくるから、今までみたいにトップにいられなくなるよ』って言われて…。オリンピックまでに技を増やしていきたいです」
予定通り東京オリンピックが行われていれば「金メダル」を手にしていたかもしれない2人。今後の滑りに注目です。