三重県多気町の相可高校の生徒が運営している高校生レストラン「まごの店」は、新型コロナウイルスの影響で休業していますが、地元スーパーでお弁当の販売が再開されました。
プロ顔負けの高校生たちが作る本格的な「青春弁当」。待ち望んでいた地元の人たちからは喜びの声があがっています。コロナ禍で奮闘する高校生を取材しました。
■生徒たちが営むレストランも再開のめどたたず…食に取り組む高校生にもコロナの影響
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三重県多気町にある県立相可高校。この高校を一躍有名にしたのは、調理クラブの部員が週末に営業する「まごの店」です。
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接客から調理まで、店の切り盛り全てを部員が行っています。
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しかし3月から休業中。まだ営業再開のめどは立っていません。
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そんな中、力を入れているのが「青春弁当」です。
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10年以上前から、県内のスーパーで毎週土日に販売。
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これも中止していましたが、9月からようやく再開できるようになりました。
■部長「再開できることが本当に嬉しい」…休業中にわかった食を提供できることのありがたさ
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10月30日の放課後、翌日に販売する弁当を作るために、調理クラブの部員たちが仕込みをしていました。
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おかずは、おひたしや、野菜ごとに味付けを変えた煮付けなど、和食の基本となる煮物が中心。
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どれも地元でとれた野菜を使っています。
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だしは北海道利尻産の昆布と、魚の風味がしっかり残る荒節の花かつおから丁寧に取ったものを使用。そのこだわりはプロさながらです。
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調理をしながら手際よく片付けの指示を出すのは、3年生の北村莉子さん。部長として55人が所属する「調理クラブ」をまとめています。
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この日、北村さんが担当するのは「煮方(にかた)」と呼ばれる煮物の味付けの責任者。日本料理店では板長の次に責任の重いポジションで、部員の中でも担当できる人は限られます。次々と味見していく北村さん。
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北村さん:
「(味見しすぎて)分からなくはなるんですけど。2年生の時に、先輩の味見させてもらって、お手本の味を思い出しながらやっています」
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用意するお弁当の数は220個。計量カップで計って作れる量ではないため、これまでに培ってきた技術と舌で、その味に近づけます。
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煮つける具材にも生徒たちの丁寧な仕事が光ります。切り分けたかぼちゃも煮崩れないようキレイに面取り。丁寧な下処理に努めます。
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さらに裏ごしした豆腐で作るのは、がんもどき。揚げたり蒸したり、基本に忠実に。一から丁寧に作ります。
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調理クラブ顧問の村林新吾先生:
「よく褒め言葉で『相可高校の高校生が作った弁当って、プロみたい』って言うけど、本当にお客様からお金取るために作っていますから、毎日真剣勝負です」
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すべては買ってもらうお客さんのために…。高校生だからと言って、決して甘えることはありません。
北村さん:
「今までは、ありがたさを感じないくらい忙しい日々だったので。一時中断して、提供できないつらさとか分かったので、いま提供できるようになって本当に嬉しくて、より気が引き締まっています」
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販売前日、だし巻き玉子以外のおかずはできあがりました。冷蔵庫で一晩寝かせて、味を染み込ませます。
■先生「レンコン固いからもう少し煮て」…販売当日 生徒だけで仕込んだ具材を最終チェックし完成
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夜明け前の午前5時半、調理クラブの朝は早く、伊勢から通う部長の北村さんも登校してきました。
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お弁当の販売当日は、先生の味見から1日がスタートです。
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前日の仕込みまでは、味付けは全て生徒に任されています。
村林先生:
「(切り干し大根)これちょっと砂糖入れて。レンコンしばらく煮なあかんわ。固い。高野豆腐OK」
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前日までの仕込みは、生徒に任せるのが相可高校のやり方。微調整は必要なものの、ここまで出来ていれば十分と村林先生から合格点がでました。
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そして最後は、だし巻き玉子。関西風のあっさりした出汁を使い、冷めてもふっくらして美味しいという相可高校自慢の一品です。
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他のおかずも続々と出来上がり、最後はみんなで仕上げて完成です。
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高校生が丹精を込めた相可高校食物調理科の「青春弁当」。
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素材ごとに味付けを変えている煮物に、ひじきやおひたし、だし巻き玉子など、およそ30種類のおかずが詰まって700円です。
■また『おいしい』と言ってもらえるよう頑張りたい…36個の弁当が販売開始から30分で完売
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いよいよお弁当の販売へ。お弁当作りだけでなく、店頭に運んで売るのも勉強です。
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スーパーには、販売開始前から既に地元のお客さんの列が…。
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女性客:
「2つください。それ目当てで買いに来たの」
販売開始早々、続々と売れて行きます。
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別の女性客:
「だしなんかしっかり取ってみえるし。おいしいものでちょこちょこ買っています」
また別の女性客:
「優しい味だから好きなの。でも、なかなか出会えないんですよ。お夕飯に呼ばれますわ」
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開始から30分で、この店舗で用意した36個のお弁当が完売しました。
北村さん:
「『前も買ったよ』、『美味しかったよ』って言って下さる方が沢山いたので、すごく嬉しくて。また『おいしい』って言っていただけるように、頑張っていきたいです」
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生徒たちが丹精込めて作り上げた「青春弁当」。みんなの笑顔が広がります。