愛知県蒲郡市で起きた女性が殺害事件。未解決のまま、2021年3月10日で5年が経ちました。誰からも慕われていた母がなぜ…遺族が思いを語りました。
2016年3月10日、愛知県蒲郡市の住宅で遺体で見つかった杉浦加津代さん(当時73)。海外出張から帰ってきた長男の司さん(56)が、1階の居間で変わり果てた加津代さんの姿を発見しました。
加津代さんの長男・司さん:
「頭がこちらで、こちらから引きずったような跡が。血の跡があって、倒れていたのはこちら。首に携帯電話のコードが巻かれていて、事故とかじゃなくて事件だと思いました」
首にコードが巻かれ、顔にはビニール袋が…。警察は殺人事件と断定しました。
現場の状況などから、自宅裏の窓ガラスを割って侵入した何者かが、加津代さんと鉢合わせし襲った可能性があることが判明。
捜査員のべ1万2千人以上が投入されましたが、いまだ犯人に繋がる手がかりは見つかっていません。
あれから5年…。いつも人の世話焼きばかりで自分は後回し。あんなに優しかった母が、なぜ殺されなければならなかったのか。
母が亡くなった家と同じ敷地内に住み続けている、司さんと妻の多香子さん(56)。今も加津代さんのことを思い出さない日はありません。
多香子さん:
「朝早い出張の時は(駅まで)送ってくれましたし、(夜の)11時でも待っていて迎えに来てくれたり」
司さん:
「私たちもいい大人ですけど、世話をされていたような感じです」
加津代さんは、夫婦の面倒はもちろん、畑で育てた作物やミカンを近所に分けて回るなど、いつも自分のことは後回し。
そんな加津代さんに多香子さんが渡したのが、 加津代さんのことを守って欲しいと願いを込めた指輪でした。
多香子さん:
「ジュースを作っておいたから、冷蔵庫にラップして入れといたよって。『ありがとう、ありがとう、いつも悪いね』って言われて」
出勤前に車庫で交わした何気ないやりとりが、最後になりました。
司さん:
「5年ってあっという間ですけど、私たちにとっては区切りでもないし、忘れた日は本当にないですね」
多香子さん:
「私たちにとっては何もあの日から変わっていない。守ってあげられなくてごめんなさい」
警察から遺品として返ってきた指輪は、形見として多香子さんが大事にはめています。
多香子さん:
「こういう季節になったねとか、周りの花がこうなったよとか。いつも(指輪を)身に着けていれば(母が)感じてくれるかなと思って」
今もどこかで加津代さんが見守っていてくれる、そう感じているという夫婦。
司さん:
「もっといろいろ楽しめることをしてあげられたらよかった。旅行に行ったりとかしたかったな。母の、まだまだ今から楽しめる人生を、奪い取った犯人を許せないですね」
墓前に犯人逮捕を伝えられる日が、何よりの孝行と信じ、解決を待ち続けています。