中部国際空港に、国内外の航空会社向けに機内食を製造している会社があります。この会社は、ピーク時には1日6000食の機内食を提供していましたが、コロナ禍で飛行機の便数が激減したことで、100食にまで激減しました。
巻き返しを図るため始めたのが、上空で食べる機内食を地上で食べてもらうこと。空港のレストランをはじめ、様々な場所で提供が始まった「地上で食べる機内食」には、様々なアイデアが詰まっていました。
■客「少しでも旅行気分が味わいたい」…JALバンコク便の機内食「特製チキンカレー」をレストランで
愛知県常滑市の中部国際空港の港内に機内食を製造する工場があります。コロナ禍以前だと、多い日に6000食を作っていましたが、2月には国際線の旅客便がフィリピン航空の週4便のみと、便数が激減し1日100食前後と厳しい状況に。
そこで、機内食を地上で食べてもらおうと同じ港内にあるレストラン『M'sダイニング』での提供を始めました。
男性客:
「機内食は、海外旅行に行く楽しみにしているので。すごく美味しいです」
別の男性客:
「旅行が好きなので、ちょっとでも旅行気分が味わいたい」
その機内食が、JALのバンコク行きで提供されていた料理を再現した、期間限定の「イエローチキンカレー・アジアンスタイル(サラダ・ケーキ・ソフトドリンク付き)」(1500円)です。入れ物も機内食のものそのままで雰囲気があります。レストランのスタッフから、手書きのメッセージも添えられていました。
本来上空でしか食べられない機内食。その味には、ある特徴がありました。
男性客:
「海外出張でたまに使い、食べたことあります。ちょっと(味が)濃い目でおいしいです」
上空では気圧の影響で人間の味覚が鈍くなるため、機内食は濃いめの味付け。レストランでは、そのままの味で提供しています。
■ビジネスクラスの機内食も販売…空港だけでなく近くの観光地や都市部でも提供
機内食を提供したのは中部空港のレストランだけではありません。常滑市内で毎日場所を変えて、特設販売もしています。この日は、常滑焼の卸売り業者が揃う、焼き物団地「セラモール」で販売されていました。
本来ビジネスクラスで出される、「贅沢神戸牛めし」(1280円)や…。
女性に人気な「こだわりクリームの知多産みかんサンド」(350円)など、全部で9種類。オープンと同時に、用意された弁当やサンドイッチが飛ぶように売れていきます。
男性客:
「ステーキサンドは絶対欲しかったです。肉好きなので」
女性客:
「飛行機乗らないと食べられないじゃないですか。だから家で食べられるのは、いいですね」
中でも人気なのは「極上牛フィレステーキサンド」(880円)。肉を真空低温調理で柔らかく仕上げています。中には、こんなお客さんも…。
機内食を提供する会社に勤める女性:
「今日は家族に持ち帰るために。全社員一丸となって頑張っているので、お客としても応援したい」
また名古屋でも買うことができます。名鉄神宮前駅の東口で、数量限定で毎日販売しています。
女性客:
「この間来た時に、欲しいと思ったのが売り切れていたので…」
男性客:
「今、コロナの関係で飛行機乗られる方、少ないでしょうから…」
レストランや特設販売で提供する機内食。ただ、これでも従来の売上げには遠く及びません。
■担当者「新たな事業を拡大したい」…開発中のクルー専用の機内食で更なる注目を
地上で食べる機内食。更に注目を集めるべく、とっておきのメニューの開発も進んでいました。それが、パイロットをはじめクルーたち専用の機内食、特製「キャプテンミールボックス」です。
バゲットにはたっぷりのローストビーフが挟まれています。本来ならクルー以外は口にできない食事だけに、一層注目が集まりそうです。
機内食を製造する会社の担当者は「これからは、機内食だけでなく新たな事業を発展的に拡大する予定」と意欲的に話します。