東日本大震災から今年で10年が経ちました。コロナ禍で新しい生活様式が求められる今、避難所も変わっています。

 災害支援のプロのアドバイスをもとに、実際に体育館にコロナ対策を講じた「新しい避難所」を設置すると、これまでの避難所にはない様々な配慮がありました。

■「コロナ禍の新しい避難所」…感染防止が最優先 一般避難者と発熱者のスペースに“ゾーニング”

 名古屋市千種区の指定避難所「香流橋地域センター」に、市の協力のもと、コロナ対策を講じた「新しい避難所」を設置しました。

 体育館に受付や仮設トイレを作り、毛布を設置。食料などの備蓄品の開封や点検など、地元の人の協力も得て10人で半日かけて完成。

 できあがった「コロナ禍の新しい避難所」。被災者支援団体の理事を務める災害支援のプロ、NPO法人「レスキューストックヤード」の浦野愛さん(44)の案内で体験します。

 まず外の受付で消毒と検温、体調に問題がないことを確認します。もし発熱などの症状がある場合は、正面の入り口とは別に設置されている体調不良者用の入り口から中へ。

 避難所内はお互いの接触を避けるため、一般の避難者スペースと、発熱者用のスペースに「ゾーニング」されています。避難所内でコロナ感染が発生しないことが最優先されます。

浦野さん:
「感染予防には、症状のある人と無い人が交わらない環境をいかに整えていくかが重要なポイント」

 正面の入り口から入ると2つ目の受付が。そこで氏名、住所、連絡先などを記入します。

■毛布間を1メートルあけ蜜を回避…ソーシャルディスタンス確保のため収容人数は当初の半分に

 こちらの避難所では、本来267人の避難を想定していましたが、ソーシャルディスタンスを考慮し、毛布を敷き詰めたところ半数ほどしか収容できないことが判明。名古屋市の場合、1人分のスペースは2平米。互いの毛布の間を最低1メートルあけて、密を避けなければなりません。

 コロナ禍で避難所の収容人数が減ったことについて、名古屋市は避難所のスペースを拡充する事に加え、旅館やホテルなど20か所を避難所として追加し、高齢者や障害者などを優先して受け入れる事にしています。毛布の上に座ってみると…。

(リポート)
「隣との距離は思ったよりあるんですけど、仕切りはないんですね」


 そこでパーティションの代わりに、体育館に元々あった卓球用の仕切りを置き、死角を作ることに。

(リポート)
「これ一個あるだけで全然違います」

■東日本大震災時には“痴漢被害”も…過去の教訓から女性専用スペースを設置

 着替えたくなった場合、多くの人がいる避難所では気軽にできません。痴漢被害など、10年前の東日本大震災の教訓から女性専用のパーティションを設置。着替えだけでなく、授乳などにも使われます。

 他にも、過去を教訓にコロナ対策やプライバシー保護に最適な避難所用のテント「ワンタッチパーティション」も設置。名古屋市では中に段ボールベッドを置き、体調不良者や高齢者、障害者などに優先的に使用されます。段ボールベッドに寝てみると…。

(リポート)
「すごいしっかりしています。普通のベッド、すごく寝心地いいです」

 コロナ時代の「新しい避難所」を体験してみると、そこにはコロナ対策やプライバシー保護への十分な配慮がありました。