4月に行われる名古屋市長選挙は、告示まであと3週間余りとなって、ようやく構図が固まりました。河村市長の出馬表明が19日になった背景は、大きく分けて2つあると考えられます。
1つは、国政復帰の願望を持つ河村市長が、衆院選のタイミングをギリギリまで見極めていたということと、新年度予算案の成立が18日に決まったことも挙げられます。
選挙戦で争点となりそうなのが「河村劇場 ロングランの是非」。
河村市政3期12年間をまとめると、2009年、衆議院議員だった河村市長が市長に初当選。この時に掲げたのが「市民税減税」と「市長給与の減額」「地域委員会」です。市長給与800万円は早々に実施。翌2010年には、市民税減税も実現しました。
地域のことは地域で選ばれた人が決めるという「地域委員会」も、一部地域でモデル実施されました。
翌2011年に、大村さんとの「村村コンビ」で中京都構想などを掲げ、知事選、出直し市長選、市議会解散の住民投票の「トリプル選」を仕掛け、勝利しています。
2013年からは2期目。2014年に子ども応援委員会を立ち上げ、学校にスクールカウンセラーの配置をスタート。2015年に名古屋城天守閣木造復元について指示します。
河村市長の主な取り組みは、2期目までにほぼ出揃っているのがわかります。
一方で大村知事と「中京都構想」を巡って隙間風が吹き始めるなど、河村市長が直面する課題の芽が既に出始めてもいます。
2017年からは現在の3期目。2019に芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の「表現の不自由展・その後」の展示内容を巡り大村知事と激しく対立。去年リコール運動を熱心に支援したのは、記憶に新しいところです。
河村市長は今回、新型コロナ対策の強化や子どもの支援の拡充、市民並み給与800万円の継続を訴えます。
横井さんは行財政改革のほか、市長給与を年544万8000円に引き下げると明言しました。
これについては「争点潰し」で、横井さんは議員の仲間のこともあり、河村市長が得意とする議員報酬の議論を持ち出されたくないため、先んじて安い市長給与を打ち出し、河村市長の舌鋒を鈍らせようという狙いだとみられます。
ただ、この違いは名古屋市民1人あたり年に1円の違いです。
横井さんは大村知事からも支援を受けますが、あまり知事の影が色濃く見えすぎると協力を得にくくなる人もいるとみていて、そこは敢えて前に出さず、政策論争で勝負を挑むことにしています。