4月25日投開票の名古屋市長選挙。公約として現職の河村たかしさんは「電子決済で2万円分のポイントバック」、対する横井利明さんは「全市民に2万円の商品券配布」を掲げ、一部では「バラマキ合戦」とも揶揄されています。
果たして、直接懐に訴える公約は、選挙目当ての「バラマキ」か、それともコロナ禍の有効な経済対策か…。名古屋の有権者はどう判断するのでしょうか。
■「商品券」対「ポイント還元」…事実上の一騎打ちの名古屋市長選挙は「バラマキ合戦」に
現職と新人4人が立候補した名古屋市長選挙。このうち元市議会議員の横井利明さんが公約として掲げたのは、「全市民への2万円分の商品券の配布」です。
名古屋市の人口は約230万人のため、約460億円の財源が必要となりますが…。
横井氏(4月11日):
「今、名古屋市には2754億円の貯金があり、貯めているだけでは誰も助からない」
横井さんは、災害時などのために貯めてある市の基金およそ2750億円を取り崩し、「実現は可能」と胸を張ります。
現職として市の財政を預かる河村さんは4月2日、横井さんが掲げたこの公約に対し、「選挙前だからといって無茶苦茶。行き過ぎた愚民政策」と非難をしていましたが、一転…。
河村氏(4月11日):
「電子マネーになるけど、買い物したら3割引きと。これは1年ぽっきりじゃないですよ」
河村さんは、公約に「電子マネーでの買い物に30%、最大2万円のポイントバック」を盛り込みました。
「ポイントバックのような継続できる経済政策でないと効果が出ない」と主張する河村さんに対し、「コロナで、たった今困っている市民に商品券を」という横井さん。方法は違えども、戦いは「バラマキ合戦」の様相を呈してきました。
■各地の選挙でみられる「バラマキ」公約…当選後議会で否決され相次ぎ撤回に
こうした『バラマキ』とも揶揄される公約を掲げる候補者は、コロナ禍の今、各地の選挙でみられます。
2020年11月、当選した兵庫県丹波市の林時彦市長。
選挙で公約に掲げたのが「全市民への5万円給付」です。
しかし当選後、財源の問題から「2万円の商品券の配布」に修正。しかも、その案は議会に否決され、実現の見通しは立っていません。
愛知県でも、岡崎市の中根康浩市長が2020年10月、「全市民に5万円の給付」を公約に掲げ当選。しかし、財源として市の貯金にあたる財政調整基金などを取り崩すことに議会側が猛反発。
中根市長(2020年11月20日):
「やれないと議会の皆さまが決定したわけですよ。今でもやりたいですけど、やれないですよね」
結局、公約を事実上撤回しました。
■専門家「一時期的なバラマキではなく持続可能な政策を」…有権者の判断はいかに
こうした現金などを支給する公約について、名城大の昇秀樹教授は「コロナの非常時とはいえ、何をやってもいいのではなく、サステナビリティ=財政の持続可能性に配慮しながら、総合的に判断するべき」と説きます。
名城大の昇秀樹教授:
「有権者も岡崎市長さんが5万円給付を言った時よりは、『そんなにいい施策でないのかな』と考えているんじゃないか」
一方、有権者は…。
有権者:
「正直嬉しいですね。やっぱりコロナの影響でみんな困っておりますので」
別の有権者:
「お金で釣るような話じゃない。私はいいと思わない。だって岡崎でダメだったじゃん」
また別の有権者:
「囮みたいになって、一瞬お金が入るからって(票を)入れて、本当の『人』を見なくなるんじゃないかなと」
商品券配布とポイントバックは、選挙目当ての「バラマキ」か、それともコロナ禍の有効な経済対策か…。
名古屋市長選には、このほかNPO代表の押越清悦さん(62)と元会社員の太田敏光さん(72)も立候補していて、投開票は4月25日です。