愛知県の三河地方に出没する、双子の姉妹が営む「たこ焼き屋台」があります。姉妹が焼くたこ焼きは、表面はパリっと、中はふわトロで評判の味です。
この店の魅力は味だけではありません。看板娘2人の笑顔に誘われて、遠方からも人がやって来ます。
■「とにかく明るくて美人」双子の姉妹が営むたこ焼き屋台
3月13日の午前7時半。愛知県岡崎市にある地元の野菜などの直売所「ふれあいドーム岡崎」に、1台のワゴン車がやってきました。原田紗希さんと佳奈さんの双子の姉妹が営む、たこ焼き屋台「四季桜」です。この施設には月に1~2回、週末に出店しています。
ふれあいドーム岡崎の店長:
「とにかく明るくて美人なんで。活気だとか、華やかな感じになりますね」
オーナーで店長は妹の佳奈さん。姉の紗希さんは、妹を手伝います。
■関西のたこ焼き店を訪れ研究…こだわりの「山芋粉」で優しい食感に
午前9時開店。佳奈さんは、産直市場のオープンと同時にたこ焼きを焼き始めます。具はタコにネギにショウガ、そして食感をふわっとさせるために、こだわりの「山芋の粉」を入れます。
生地に粉末状にした山芋をたっぷり加えた分、一般的なものより水分が多く、焼くのに技術が必要になります。佳奈さんは関西の様々なたこ焼き店を訪れ、その焼き方を見て勉強をしました。
そして鉄板で焼く時、木の箸を使います。木の箸の方が、生地が柔らかいたこ焼きを優しく扱うことができるからです。味付けは、定番のソースに塩など4種類。一番人気はネギがたっぷり盛られた「ねぎだこ」(600円)です。
女性客:
「中がトロトロなの、表面がパリッとしていて、普通のたこ焼きとちょっと違うかな」
別の女性客:
「ここのが今までで一番おいしかったから。来てくれるのを待っていたんです」
佳奈さんは「子供から大人まで笑顔になれる味。お祭りで、たこ焼きを買うワクワク感がたこ焼きの魅力」と話します。
■店のもう一つの魅力 2人の笑顔に誘われ訪れる客も
焼き始めると、その香りに誘われて人がやってきました。お客さんを待たせないよう、紗希さんも一緒に焼き始めます。そっくりな2人が並んで焼く姿は、話題となっています。
女性客:
「かわいいね~」
別の女性客:
「たこ焼き屋さんって年配のお父さんお母さんが多いじゃないですか。若いきれいな人たちはいい」
2人の笑顔に誘われてやってくる人もいます。昼が近づくにつれ、人が増えてきました。
■いったん就職も…「やっぱりたこ焼きが焼きたい」と一念発起
佳奈さんがたこ焼きの移動販売を始めたきっかけは、高校生時代のたこ焼き店でのアルバイト経験でした。
佳奈さん:
「OLをやっていたんですけど、やっぱりたこ焼きが焼きたいなと」
大学卒業後就職しましたが、たこ焼き店での人とのふれあいが忘れられず、2年前に一念発起して起業しました。当初は地元の三河地方の祭りやイベントに出店し、順調に売上も伸ばしていました。
しかしコロナ禍でイベントの中止が続き、売上げは激減。困っていたところ、知人から「ふれあいドーム岡崎」を紹介され、1年前から定期的に出店しています。
ふれあいドーム岡崎の店長:
「お客さんが増えました、『たこ焼きっていつ販売するの』って聞かれるんです。明るい雰囲気ですごくいい」
佳奈さんは「移動販売は、出店した様々な地域の人から直接「おいしかったよ」と言ってもらえる事が魅力」と話します。
■「私はそこで一生たこ焼きを焼きます」…夢は“姉妹で店舗オープン”
女性客:
「インスタで今日ここに出店するのを見て、おいしそうだと思って来ました」
2人の屋台には、SNSを見て、遠方からわざわざ足を運ぶ客もいます。佳奈さんは「自分たちの顔とたこ焼きの味を覚えていてくれるのは本当にうれしい」と話します。
この日、午後3時の閉店時間まで途切れることなく人がやってきました。店の人気は、彼女たちの焼くたこ焼きの味だけでなく、元気をもらえる素敵な笑顔にありました。
佳奈さんの夢は、姉妹で店舗を持つことです。「移動販売だとどこにいるかわからないけど、店舗だとそこに行けば必ず会えるから。私はそこでたこ焼きを一生焼きます」。
佳奈さんのたこ焼きへの情熱は続きます。