三重県桑名市をはじめ、これまでは「ファイザー」のワクチンが使われてきましたが、来週から愛知県でも始まる大規模接種では「モデルナ」のワクチンが使用されます。2種類のワクチン、どのような違いがあるのでしょうか。

 ワクチンにはいくつかタイプがありますが、ファイザーとモデルナは同じタイプ(mRNAワクチン)になります。発症の予防効果はファイザーが95%、モデルナが94%とほぼ変わらないとされています。

 アメリカでは2回目の接種から2週間が経過した人の感染リスクが、いずれもおよそ90%減少するという発表も出ています。

 ワクチンの効果についてのデータはほぼ一緒で、接種回数もどちらも2回です。違いについては、2回目を打つまでの期間が、ファイザーが3週間なのに対し、モデルナは4週間と1週間長くなります。

 保管温度と使用期限も違います。いずれも使い出したあとは6時間以内に使い切らなければなりませんが、使うために冷凍庫から出して解凍した後の期限は、温度が2度から8度での保管で、ファイザーの使用期限が5日なのに対し、モデルナは30日となっています。

 モデルナのワクチンは使用する際に希釈(=薄める作業)が必要性ありません。

 感染症の専門医で愛知県がんセンター病院の伊東医師は、こうした特徴などからモデルナのワクチンは「ファイザーよりは扱いやすく大規模接種に向いている」と話しています。

 副反応について、まずアナフィラキシーはアメリカでの報告では、ファイザーが1000万回ほど、モデルナがおよそ760万回の接種を調査したところ、いずれも接種100万回あたりファイザーは4.7件、モデルナは2.5件という調査結果だったということです。

 他の副反応は、アメリカでの別の報告によると、ファイザーおよそ260万回、モデルナ290万回の接種を調査したデータでは、接種した部位の痛み、倦怠感・だるさについては、2回目の接種の方が増えているのはどちらも同じですが、モデルナの方が割合が多くなっています。

 頭痛と発熱も同様に、いずれもモデルナの方が高い結果となっています。特に2回目の接種後の発熱については差が最も大きく、モデルナの方が16.1%高く出ています。

 これらの副反応では、いずれもモデルナのワクチン方が、頻度が高い傾向にありますが、伊東医師は「接種をためらうようなものはない。1、2日で軽快するため(良くなるため)過剰な心配は不要」としています。

 モデルナのワクチンについても、海外ではすでに副反応などの様々な報告が出てきています。伊東医師はファイザーと比較してもどちらが良いというのもないとした上で、今後の接種については「今、利用可能なワクチンを適切なタイミングで速やかに接種することが重要」と話しています。