岐阜県関市が本拠地のサッカーのアマチュアクラブ「FCボンボネーラ」。選手たちは普段、他の仕事をしながらアマチュアからの飛躍を目指し練習をしています。
このチームに今シーズン、元・日本代表の点取り屋、ハーフナー・マイク選手が加入しました。チームが掲げるビジョンはJリーグ参入。専用のグランドもロッカールームもないチームですが、環境は十分に整っていなくても、選手たちには大いなる「野望」があります。
■目指すはJリーグ参入…社会人2部リーグ所属のクラブチーム
岐阜がホームのサッカーチームと言えば、「FC岐阜」。一方、関市がホームのチームは、「FCボンボネーラ」です。
午前中で練習を終えて、ある選手が向かったのは居酒屋。始めたのはトイレ掃除です。アマチュアクラブの選手の大半は、サッカー以外に「仕事」を持っています。
サッカーをする人、誰もがあこがれるJリーグ。日本のサッカー界は、名古屋グランパスなどがしのぎを削るJ1を頂点にすそ野が広がっていますが、Jリーグと呼ばれるプロリーグはJ3まで。
その下のJFL、社会人1部、社会人2部、都道府県リーグの4つはアマチュアリーグで、「FCボンボネーラ」は、現在このピラミッドの6番目、「東海社会人2部」に所属しています。目指す頂は、遥か彼方。しかし、大きな「野望」があります。
FC.ボンボネーラの監督兼代表の加藤益己さん:
「アマチュア全国リーグのJFL、JFLの上がJ3。Jリーグのチームを倒して、ジャイアントキリングを起こせれば」
掲げるビジョンは「2023年にJFL、25年にJ3」。ボンボネーラの「野望」は、Jリーグ参入です。
■Jリーグ参入に向け超大型補強…元・日本代表のハーフナー・マイク入団
Jリーグを目指すアマチュアクラブの選手。その経歴も様々です。契約を終え、Jリーグの舞台を離れた選手や大学卒業後すぐにチームに加わった選手など、30人がプレーしています。
そんなチームに今年、「野望」実現への本気を象徴する“最終兵器”が加わりました。元・日本代表のハーフナー・マイク選手です。
Jリーグはもちろん、海外のクラブでも活躍した点取り屋。父親はJリーグ発足当時から、グランパス不動の守護神として活躍したレジェンド、ディド・ハーフナーさんです。
ハーフナー・マイク選手は、昨シーズン終了後「FCボンボネーラ」が目指しているビジョンを聞き、「新しい挑戦ができ面白そう」と入団を決めました。
■専用のグランドもロッカールームもない…あるのはJリーグ昇格を目指す「野望」
力強い戦力が加わったボンボネーラ、今季初の公式戦では新エースも、格の違いを見せつけ9-0でFCオリベ多治見に勝利。
しかし戦力がいくらアップしても、すぐには変えられないのが、アマチュアクラブの「環境」です。専用のグラウンドはなく、毎日の練習は自治体の公共グラウンド、シャワーもロッカールームもありません。あるのは「野望」と、「気持ち」です。
FCボンボネーラの選手(22):
「大学卒業と同時には(プロに)なれなくて、諦めずにやり続けたら、こういういいチームに巡り合えるので、あのとき辞めなくてよかったなと思います」
別の選手(21):
「サッカーを続けたい、やるなら本気でいたいというのがあったので、この道に進みました」
サッカーを続け、アマチュアの舞台から飛躍を目指して…。FCボンボネーラの加藤監督は、「今はプロはJ3まであり、若い選手が目指せる場所があるので、プロではないがプロ根性を持ちながらやっていきたい」と話します。
■支援者「頑張れば小さな町からでもJクラブが」…20社の地元企業がチームを支える
今シーズンから導入した、新しいユニフォームには心強いサポートが集まっています。関市に本社を置く建設会社「伸和建設」もチームを支える一つです。アマチュアながら20社のスポンサーを持つ「ボンボネーラ」は選手自らも営業活動をしていて、多くの地元企業が彼らの「野望」を支えています。
伸和建設の社長:
「小さな町からも、頑張ればJクラブができるんだよと。そりゃすぐにでも結果出してほしいです、本音言ったらね」
FCボンボネーラの加藤監督:
「(クラブを)大きくしていこうと思うと、スポンサー様がついてくださるのはありがたい。ただサッカーするだけではなくて地域に根差した、地域に特化したことをやりながら、応援して頂きたい」
■チームを引っ張る元・日本代表「一歩ずつみんなで成長していきたい」
「岐阜県サッカー選手権大会 準決勝」。この日の相手は、同じリーグに所属する「長良クラブ」です。去年この大会を制し、天皇杯にも出場しました。0-0でPK戦までもつれたこのゲームで、最後にPKを決めて勝利を手繰り寄せたのは、やはりハーフナー・マイク選手でした。
ハーフナー・マイク選手:
「最後きっちり決められてよかった。一歩ずつみんなで、勝利をかみしめて成長していくクラブにしていければ」
「他のチームから目標にしてもらえるようなチームになれば、もっと岐阜が盛り上がる」。加藤監督はチームの飛躍を願います。「2025年にJクラブに…」。岐阜のアマチュアサッカークラブ、その「野望」は本気です。