岐阜県高山市で6月、警察犬の「アンジー」が行方不明となった高齢女性をわずか3分で見つけ、話題になりました。発見時の詳細や「アンジー」がどんな犬なのか、また、警察犬と警備犬や麻薬探知犬との違いなどを取材しました。

 高山市で6月1日、高齢女性が行方不明になり、家族や警察官10人以上で約1時間半捜索しましたが、見つかりませんでした。

 その後、出動要請を受けた警察犬の「アンジー」は女性の枕の匂いを嗅ぎ取り、わずか3分で発見しました。

 女性は自宅から約30m離れた民家と民家の間で座り込んでいましたが、周囲が暗かったため、警察官もかなり近くに行くまで女性の姿に気付かなかったということです。

 女性を発見した警察犬は「アンジーオブグリーンクラウス」という名前の9歳のメスで、普段は「アンジー」と呼ばれています。

 両親ともに日本産で静岡県生まれ。ブリーダーから譲り受け、警察から依頼された民間人の谷向さんが飼育・管理しています。

 普段は谷向さんが営むペットホテルで一緒に暮らしていて、出動要請があると現場に向かいますが、山で遭難者を見つけたこともあったといいます。

 東海地方では、愛知県で47頭、岐阜県で22頭、三重県で18頭の計87頭が活躍しています。

 警察犬は鑑識課所属で、警察官と一緒に「においを手掛かりに捜索」するのが仕事で、行方不明者や犯人の捜索など、東海3県では2020年、850回以上出動しています。

 ちなみに凶悪犯に飛びついて押さえたり、爆発物を探す「警備犬」は警備課所属、空港などで麻薬の捜索をする「麻薬探知犬」は税関所属で、警察犬とは別の部門です。

 谷向さんは「警備犬や麻薬探知犬は、麻薬や爆発物に含まれる火薬といった『決まったニオイ』を覚える訓練を行うのに対し、警察犬は毎回『違う人間のにおい』を元に探すという点が難しい」と話していました。

 このため友人などにお願いをして、ニオイを元に足跡を追うといった訓練を、今も欠かさず行っているということです。