品川~名古屋間で2027年の開業が難航しているJR東海のリニア中央新幹線。5月の選挙で4選を果たした川勝平太静岡県知事は、県内のトンネル工事について「大井川流域の水資源への影響を否定できない」などとして、着工に「待った」をかけています。
大井川は、上流は水力発電、中下流は約62万人の水道水、農工業用水として活用されています。水不足もたびたび起こっていて、川から浄水場に送る水の量を減らす「取水制限」は、直近5年間で7回もありました。
ルートでは大井川の下をトンネルが通る計画ですが、静岡県側は掘削すると地中に蓄えられた水がトンネル内に湧き出るなどして、水が減ってしまう可能性があり、静岡工区の着工を認めていません。
これに対し、JR東海は「水資源の利用については、湧き水をポンプアップして戻すので影響は出さない」としています。
川勝知事は、生態系に影響が出るのならJR東海にルート変更を求める考えを示していますが、JR東海は株主総会の中で「ルート変更はありえない」と発言しています。
対立が続いていますが、リニアの工事は進んでいるのでしょうか。6月30日に工事現場を上空から撮影してみました。
名古屋駅の西側には工事用の建物や車両があり、リニアの工事が今まさに行われているのがわかります。
その横にある線路を見ると、地面が掘られています。リニアの名古屋駅ホームを作っているところで、地下およそ30mまで少しずつ掘削工事が進められています。
また、名古屋城の南には、直径約40m・深さ約90mの巨大な穴が空いています。こうした穴に「シールド」という大きな掘削機を入れて横に掘り進めていき、リニアの線路がひかれます。
リニアは全体の約85%がこうした地下を走ります。鉄道ジャーナリストの梅原さんによると、約5キロ間隔で深さ40m以上の穴を空けていく必要があるといいます。
しかし梅原さんによると、現状は縦の穴も順調に掘り進んでおらず、横の穴はあまり手をつけられていないということです。工事自体はまだ時間がかなりかかり、2027年の開業は難しいと話しています。