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柴田杏花さんインタビュー

茜は17歳という年齢にしては、幼いファッションが印象的です。
服のレパートリーは多いと思います。お母さんから手紙がしょっちゅう届いている設定なので、手紙と一緒に服も送られてきているのかもしれないです。
茜は茜なりにおしゃれが好きなのですが、おしゃれの感覚は中学生ぐらいで止まっている気がします。多分、同年代の子との交流があまりなくて、ファッションもぜんぶ“独学”で。でも、茜は自分のセンスに自信があると思います。ダサいなんて思っていないです。茜を演じていて、何事に対してもブレない強さみたいなものを感じています。
柴田さんは茜をどういうキャラクターだと思いますか?
どれだけ傷つけられてもお母さんが大好きなんですが、いまは心も体も冷え切っている状態。それでも役作りとしては、シェルターのメンバーの中で、とにかく一番前向きでいるよう心がけています。なぜなら、茜は自分のことを大変とか可哀想だとは思っていないからです。母の暴力も、頼れる人がいないことも、全部が茜の“日常”です。その中で生きていて、夢を持ち続けているのだと思います。
逆境の中でもポジティブですね。
そうですね。元気だし、パワーがありますよね。実はそういうところから、私は力をもらっています。だから、私は茜が自分のことを悲観していないのかなと感じています。
そもそも茜は、母親から愛されていないわけではないと思います。
確かにそうですが、茜をお人形さんのように着飾らせていたり、パッケージみたいに飾り立てて満足しているように感じるので、それは本当の愛情ではないような気がします。私だってお母さんから茜みたいな接し方をされたら、気持ちが不安定になると思います。だからこそ、出会って間も無いさくらさんに愛情をかけてもらい、それがこれまで味わったことのない温かな感情だったので、「これってどういう気持ちなの?」と戸惑いながらも、もっとほしいと望んでしまうのだと思います。
シェルターに避難している子どもを演じるのは、気持ちの面で大変ではないですか?
シェルターの子どもたちは、本当に心の奥底が冷えているのだと思います。ちょっとでも愛情を示されると、その人の胸に飛び込みたくなってしまう気持ちが苦しくなって、泣けました。現場はありがたいことにとっても楽しくて、笑いが絶えません。でも、当然重苦しい場面もあるので、生半可な気持ちでは取り組めないです。
柴田さんは役とご自身を、ちゃんと切り離せますか?
台本は読むときは客観視できていると思います。第1話では、一度は家に戻った茜が母親に暴力を振るわれて、結局「ハチドリの家」に戻ってきました。土砂降りの中、さくらさんに抱きしめてもらったシーンは、撮影は終わっても、1時間くらい震えが止まらなくて。ああいう絶望の中で誰かに抱きしめてもらったときの温もり。それだけで、どれだけ救われるのか。「こういう温かさを必要としている子たちが実際にもたくさんいるのだろうな」と感じましたし、あの場面で湧き上がった気持ちが茜としてのリアルな感情だった気がします。あのシーンで、茜と自分を多少なりとも重ねられたような気がします。
茜は必要以上に川端へ好意を寄せていますね。
人の何倍も期待してしまう子なので、私も心配です。もし茜の気持ちが傷つけられたり、「裏切られた!」と思ったりする出来事が起きてしまったらどうなってしまうのか、と。
茜はこれまでにも、母親に求めるような過度の愛情を他の誰かに求めたことがあったと思います。それではいけないと思わないものでしょうか?
茜はそういう感情を“失敗”と捉えていないんじゃないかと思います。だから、求めては受け入れられなくて、の繰り返しなのだと思います。
そんな茜の見どころは?
川端さんとのやりとりで見せる幸福の表情は茜のポイントになると思います。茜なりの幸せにどんな結末が待っているのか、私が一番知りたいですけど(笑)。
ところで、柴田さんご自身のいまの目標などあれば教えてください。
出演した作品の中でしっかりと生き続け、視聴者の皆さんの心にも存在し続けられたら最高だと思います。“嘘のない女優さん”になりたくて、そのためにもどの作品でも嘘のないお芝居をして、説得力を出したいです。女優という職業はいろんな人の人生を生きられるので、役を通してさまざまな経験をすると、柴田杏花自身としては味わえないような感情を何度も味わえるんです。そのとき、誰かの人生を背負って役として生きるということは、覚悟のいることだと感じましたので。
2019年には20歳になるそうですね。
20歳ってやっぱり特別だと思うんです。自分なりにできる限りのことをして、その日を迎えたいので、興味のあることだけでなく、興味のないことも経験して、自分自身をもっと豊かにしていきたいと思います。