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Interview新川優愛さん
- 「いつまでも白い羽根」でドラマ初主演を果たす新川優愛さん。新川さんが東海テレビの連ドラにレギュラー出演するのは昼ドラ「明日の光をつかめ2」(11年)以来。実は、その時のプロデューサー、監督が「いつまでも白い羽根」にも携わっています。駆け出しの頃の自分を知る皆さんとの仕事、しかも初主演。今どんなお気持ちでしょうか?
- まずは、ドラマ初主演の感想をお聞かせください。
- 不安もあったし、自信もありませんでした。でも“主演だから”と力んで現場に入っても、いい結果に繋がらないこともあるので、自分らしく作品や瑠美という役に向き合いたいと思いました。この役には、この人が決まったよ、ということを教えてもらうたび、素敵な方々と共演できることがうれしかったですし、ほとんどが初共演の方ばかりなので、どんなやりとりが出来るのかも楽しみです。
- 「明日の光をつかめ」シリーズのプロデューサー、監督が手掛ける作品での初主演ということで、何か思うことはありますか?
- 衣装合わせのとき、久しぶりにプロデューサーの市野(直親)さんと監督の阿部(雄一)さんとお目にかかったときは、正直恥ずかしくて、照れくさかったです。挨拶も何だかぎこちなくて。でも、お二人とも以前とまったく変わっていなくて、安心できる空気感がすでにそこにあったんです。初主演ということで、どうしても肩に力が入っていたんですけど、お二人にお会いして、ホッとしました。『市野さんや阿部さんに取り繕ってもしかたないな』と思いました。
- 新川さん自身、素を出せることもありますか?
- 題材的に、プロデューサーさんや監督さんとしっかり相談することが必要だと思うんです。看護の仕事、看護師って職業は人との繋がり、命の重みというものが関わってくることなので。撮影現場でも相談したいことがたくさんあるはずなので、前から知っている市野さんや阿部さんには話しやすいし、きっといろんなことを相談すると思います。
- 休むことなく連ドラに出演し、今回ついに初主演。女優としての成長を感じますか?
- 成長ですか!? そういうことを感じるのは、まったくないですね(笑)。あとから出演した作品を振り返ることはあります。出演作のDVDを見て、『あ~、こんなことやった、やった』と思いつつ。このときも大変だったな、自分なりに頑張ったな、と自分で自分を多少は褒めます (笑)。ときどき、セリフを覚える時間がないほど忙しいときがあって、あとで考えると、『どうやってこの時、セリフを頭に入れたんだっけ?』と思ってしまうこともあります。それだけのことをやり遂げられたんだ、と良い方向に受け止めるようにしていて、きっとそれは糧にはなっていると信じています。
- 毎日、撮影でお忙しいですか?
- この作品に関していえば、撮影する分量やシーン数は確かに多いです。演技だけでなく、看護学生役なので実習場面ではいろいろなことをやります。ベッドメーキングをする場面があって、コツをつかむまで大変でしたし、今後、患者さんの心のケアをする場面も出てくるので、どういう気持ちで臨まなければいけないか自分なりに考えて、理解しておきたいです。そういう作業をしないと、シーンがうすっぺらになってしまう可能性があるので。演技以外にもすべきことがたくさんあるのは大変ですが、それをやりがいに繋げたいです。ベッドメーキングひとつとっても、実生活で役立ちそう。そういう経験を仕事で出来て、ラッキーといえば、ラッキーですから(笑)。
- 瑠美という人物の見どころは?
- このところ、現代っ子で、おしゃべりで、明るくて、という役が多かったんです。瑠美は19歳の割には落ち着いていて、大学受験失敗という挫折も知っています。一人の場面も多いので、瑠美の心の揺れや葛藤もセリフでなく表情で伝わるよう、演じたいです。一緒のシーンの多い千夏(伊藤沙莉さん)ちゃんとの場面では、二人の違いをどんどん出していきたいです。
- クランクイン当日、身長の高い新川さんと小柄な伊藤さんのデコボコした感じや、どこか心を閉ざしている瑠美と、明るい笑顔を見せる千夏の対比が印象的でした。
- 私と沙莉ちゃんのキャスティングは、いろんなバランスを考えてのものかもしれないですね。二人で瑠美と千夏ちゃんの違いをいろんなところで出していきたいですし、お互いがどんな影響を与えていくのかも、表現できたらいいなと思っています。
- 瑠美の心情について質問します。大学受験に失敗して、看護学校を辞めたいと言いながら授業を受け、実習に行き、看護師を目指すわけですが。どういう気持ちでいると思いますか?
- “何だかんだでここにいる”って実際でもありませんか? 実は私もそういうこと、結構あります。高校生のとき芸能活動を始め、何の保証もない世界だから進学のことも考えましたが、何だかんだいっていまの状況に至っています(笑)。市野さんとも話したんです。何だかんだいってやっている、って実は立ち止まっていないよね、と。“何だかんだ”って意外と進んでいるというのは、私の中でも発見でした。周りに影響され、流れに乗っちゃうことって結構、多くないですか。今日も千夏ちゃんとこんなことしたな、とか、瑠美はのちのち気になる男性が出来てくるので今日もすれ違えたな、ということがうれしくて、それが続いての毎日、みたいな感じなんだと私は思っています。
- “何だかんだ”って説得力がありますね。
- 私の中でもスッと落ちてきました。ドラマって劇中で起こる出来事に意味を持たせがちですけど、意外と日常では意味のないことが起きているじゃないですか。ダラダラすることだって、一見意味はないかもしれません。でもその時間が、明日も頑張るための活力になっていたりします。この作品でも、そういう普通の感じ、全部のシーンに意味を持たせないことで、かえってドラマにメリハリをつけてくれるんじゃないか、と感じています。
- 物語は瑠美、千夏に加え、典子(酒井美紀さん)、藤香(さとうほなみさん)の4人の看護学生の姿を描いていきます。4人の関係性など、どんなところを見ていただきたいですか?
- 瑠美と千夏ちゃんは同じ年ですけど、藤香さんは少し年上で、典子さんは結婚して、子供までいます。これだけ年齢や環境がバラバラな人たちがクラスメートになるもの、専門学校だからこそ。4人のキャラクターの差がはっきりしているので、どういう関係性になっていくのかにも注目していただきたいです。
- 物語は瑠美の挫折から始まります。新川さん自身は、何か挫折した経験はありますか?
- いっぱいありますよ。今日もロケで太陽が出ない、とか(笑)。そういうことでなく、もっと真剣なものですよね? ありがたいことに挫折らしい挫折はないと思います。悔しい思いはたくさんしてきました。納得できないで終わってしまったこともたくさん。でも、それって多かれ少なかれ、誰にでもあることだと思うんです。上には上がいるだろうし。特技は何ですか?って聞かれると、書道4段ですと答えるんですけど、もっと上手な人はたくさんいるし、私なんかが書道をアピールしていいのかとつい、思ってしまって。最近、“上には上がいる精神”になっているので、『こういうことで挫折しました』とは簡単には言いたくないです。その代わりに“選択”はしてきました。瑠美じゃありませんが、芸能活動をすることを選んだのは何だかんだいって自分なので。何が正しくて、何が間違っているのかは、まだ分からないし、それも無理に決めなくていいと思うんです。いま、ここにいて、目の前にある仕事を精一杯する。そうやって頑張るだけです。
- 選択に後悔はありませんか?
- はい。後悔はしていません。でも、いつかはもともと就きたかった仕事に関することも学びたいと思っています。
- それはどんなことですか?
- このドラマに近いところがあって、介護の仕事です。高校生の頃、芸能活動が忙しくなり、断念せざるを得ませんでした。今回、かつての夢とリンクする部分のある作品に出合えて、そういう作品で主演ということにも感謝していますし、こういうことが起きるから、人生っておもしろいなって実感しています。